バードリサーチニュース

減少している? コロニー性の鳥を調べます

バードリサーチニュース2019年4月: 1 【参加募集】
著者:植田睦之

コロニーをつくって繁殖しているイワツバメ(大塚之稔)

 

 孤独癖の強いぼくには,そんな生活は堪りませんが,鳥は集団で繁殖したりします。たとえばイワツバメ。彼らは橋の下などに集団繁殖地(コロニー)をつくって営巣しています。たとえばコサギ。彼らは同種だけでなく,ほかのサギたちとも一緒になって竹藪などで営巣しています。
 こうしたコロニー性の鳥たちは,全国鳥類繁殖分布調査の1970年代と1990年代の結果を比べた研究では,あまり減少していないと考えられていました(Amano & Yamaura 2007)。ところが最近は,その状況が変わってきているようです。現在行なわれている全国繁殖分布調査調査の結果と1990年代の結果とを比べてみると,確かにカワウやアオサギなど大型のコロニー性の鳥たちは現在も分布を拡げていますが,減少した種の上位(1,2,7位)にもコロニー性の鳥たちが入っているのです(表1)。全国で減少している鳥の上位に入っているのはサギ類ばかりですが,東京都鳥類繁殖分布調査の結果では,イワツバメが減少率の第3位に入ってきています(植田・佐藤 2019)。地域別に解析するとコシアカツバメが減少率の上位に入っている地域も多くあります。減少しているコロニー性の鳥はサギ類だけではないようです。

 

図1 全国鳥類繁殖分布調査に基づくアマサギの分布の1970年代からの変化。今回の分布図はまだ未完成なので減少を過大評価しているが,1970年代から90年代にかけては分布が拡大していたが,現在は縮小に転じている。

 

ゴールデンウィーク コロニー調査

 そこで,ゴールデンウィークにあわせて,コロニー調査を実施したいと思います。全国鳥類繁殖分布調査でもコロニー性の鳥は採食や通過シーンを見るだけのことが多く,繁殖ランクが低くなりがちなので,その補完もこの調査の目的です。
 https://www.bird-atlas.jp/gwc/に特設ページを開設しましたので,ご覧ください。こちらからは,環境が1986~1992年の情報を対象に行なった「鳥類の集団繁殖地及び集団ねぐら調査」(環境省 1994)の時に記録された各種鳥類のコロニーの分布も見ることができます。
 対象はすべてのコロニー性の鳥です。海鳥類も含め,コロニーを観察されましたら,ぜひ送信フォームから情報を送信ください。
 今年のゴールデンウィークは10連休です。みなさんお出かけの計画があるのではないでしょうか? 海に行けばカモメ類のコロニーが,川に行けばサギ類やコアジサシのコロニーがあるかもしれません。そして,山に行けばホテルや橋げたにイワツバメのコロニーが。こうした鳥たちを見かけましたら,その位置と大まかな数をメモしておいてください。調査への参加,お待ちしています。