バードリサーチニュース

生態図鑑 アカショウビン

バードリサーチニュース2020年5月: 4 【その他】
著者:植村慎吾
アカショウビン 図1

リュウキュウアカショウビンのオス成鳥

○英名 Ruddy Kingfisher

○学名 Halcyon coromanda

○分類 ブッポウソウ目 カワセミ科

 

 

 

 

 

 

羽色
 国内に生息する2亜種のうち,亜種アカショウビンの上面は赤褐色がかり,腰の白斑は小さく水色がかる.亜種リュウキュウアカショウビンは上面の紫色光沢が強く,腰の白斑が大きい.翼式(初列風切の長さの順を不等号で表したもの)にも違いがあった.

食性と採食行動
 水辺の近くで魚やサワガニなどの水生生物を捕食することが多いが,昆虫や両生爬虫類も幅広く捕食する.宮古島での調査では,カタツムリ,キノボリトカゲやヤモリ類,クマゼミなどの昆虫類,小鳥のヒナなどを採餌・給餌していた.

島ごとに異なるさえずりの高さ
 南西諸島のアカショウビンは島によって声の高さが異なる.執筆者らによる研究では,セミがうるさい島では声が低く,比較的セミがうるさくない島では声が高いことがわかった.セミの音はアカショウビンのさえずり周波数よりもわずかに高く,音量も非常に大きい.セミがうるさい島のアカショウビンは,さえずり周波数を低くずらすことで,さえずりがセミの音に埋もれてしまわないようにしていると考えられる.

コルク製巣箱への誘致
 アカショウビンがさまざまな基質に営巣する性質を生かして,コルク製の巣箱に繁殖を誘致した.コルク製の巣箱はこれまでに捕食による繁殖失敗がなく,繁殖成功率が非常に高かった.

 

その他掲載記事
 ・全長,自然翼長,尾長,全嘴峰長,ふしょ長,体重,腰の白斑
 ・鳴き声
 ・分布
 ・繁殖システム
 ・巣の位置、材と形質、大きさ
 ・一腹卵数,卵サイズ,卵色
 ・抱卵,育雛期間,巣立ち率
 ・渡り

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