バードリサーチニュース

調査研究支援プロジェクト2019年度 ~投票結果のご報告~

バードリサーチニュース2020年6月: 1 【活動報告】
著者:高木憲太郎

 2019年度もバードリサーチ調査研究支援プロジェクトへのご協力をいただき、ありがとうございました。その投票結果をとりまとめましたので、ご報告いたします。

 2019年度は23件の応募の中から選ばれた9件と、バードリサーチからの1件を合わせた10件の調査研究プランが支援対象でした。投票総数は2017年度の461票には及びませんでしたが、受け付け終了間近の2月末に多数の寄付&投票をいただいたことで2018年度の380票を上回る403票が集まり、支援総額は1,211,000円になりました。このうち8割を得票数に応じて分配し、2割を10件の調査研究プランに均等割りで分配して、各調査・研究プランごとの支援額を決定し、4月上旬に支援先に贈呈することができました。ご支援いただいた皆さまに深くお礼申し上げます。

2019度の支援先調査研究プラン上位5件の得票数

 投票状況はホームページでお知らせしてきましたが、大坂英樹さんによる調査研究プラン「長時間録音データから鳥の声を楽に見つけ、楽に記録したい -時刻・鳥名入力支援Webアプリ(トリル)の開発支援のお願い-」が86票を集め、2位以下を大きく引き離しました。
 ICレコーダーで簡単に録音することができるようになり、鳴き声でのモニタリングが普及しましたが、膨大に集まる録音データの聞き取りは、やっぱり大変です。同じ時間でも野外調査に比べて疲れる気がしますよね。AI技術が進んだ今でも、野外の音を自動で種判別をするのは難しいようです。たくさんの鳥が重なって鳴いていると、音が混ざってしまって1羽ずつの声に分離するのが難しいのかもしれませんし、AIが学習するための教師データが不足しているのかもしれません。
 大坂さんが開発するWebアプリ「トリル(toriR)」は自動的に種判別をしてくれるアプリではなく、聞き取り作業をサポートするためのアプリですが、この着想の転換が、録音データの山に埋もれていた人たちの心を捉えたのかもしれません。スペクトログラムを見ながら鳥固有の声紋を見つけてクリックし、リストから種名を選べば鳴き声の時刻と種名が保存される(条件が整っていれば、1時間の音源を5分でデータ化できるそうです)などの基本的な仕組み自体はすでに完成しており、今回はユーザーインターフェイスの部分の開発、という点も評価されたのかもしれません。トリルによって、たくさんの調査や研究が進むようになることを期待したいと思います。

 

調査研究支援プロジェクト
http://www.bird-research.jp/1_event/aid/kifu.html#anchor

2019年度の調査研究プラン(活動期間2020年4月-2021年3月)の内容について、もう一度確認したいという方は、上記のリンクからどうぞ。
どれも興味深い調査や研究です。良い成果が得られることを期待したいと思います。

 

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