バードリサーチニュース

生態図鑑 ヨタカ

バードリサーチニュース2018年4月: 3 【生態図鑑】
著者:多田英行

ヨタカ(内田博)

○英名 Jungle Nightjar 

○学名 Caprimulgus indicus

○分類 ヨタカ目 ヨタカ科

○鳴き声
 雌雄ともに鳴くが,性別特有の鳴き声があるかどうかは不明.鳴き声は主に4種類に分けられ,雄のフライトディスプレイ中には4種の声を組み合わせて鳴く.

○生息環境
 自然林,二次林,植林地などの森林環境を中心に,農地,草地,河川敷,湖沼,市街地でも観察される.特に明るい森林環境を好み,下層植生の乏しい若齢植林地や,マツ混交林,ブナ・ミズナラ林などの落葉広葉樹林を好む.

○繁殖システム
 なわばりの範囲は直径200-400mほどで,隣接個体との境界部分で一部なわばりが重なり合う場合もあるが,基本的に各なわばりは独立して存在している.オスは求愛期に翼をV字状に広げながらフライトディスプレイを行なう.フライトデイスプレイは滑空,羽ばたき,ホバリングを組みあわせて行なう.

○食性と採食行動
 採食と給餌は夜間に行なう.音を立てずにひらひらと飛びながら,大きな口で吸いこむようにして虫を捕える.また,林道などに降りて地上にいる虫を食べることもある.ガ,コガネムシ,ガガンボ,トビケラ,ヒメバチ,カメムシ,カゲロウ,カマキリ,バッタなどを食べる.

巣を作らないヨタカの「巣」へのこだわり
 ヨタカは巣材を使わず地上に直接産卵するため,ともすると営巣環境にこだわらないように思える.しかし,先行研究と筆者の営巣地調査の経験から,営巣環境には「巣の直近に草が生えていない」「抱卵場所は水捌けのよい環境」「巣の上空は樹冠などで覆われていない」「巣の近くに藪や林がある」といった共通点が見られ,こうした条件が生じやすい山頂部や稜線付近,伐採跡地の林縁部や崩落によって林冠がパッチ状に空いた場所,積雪地の落葉広葉樹林での営巣が多いのだと考えられる.

◆その他掲載記事
 ・全長,翼長,尾長,嘴峰長,ふしょ長,体重
 ・羽色
 ・分布
 ・巣
 ・卵
 ・抱卵・育雛期間
 ・渡り
 ・ヨタカ本来の生息環境とは?

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