バードリサーチニュース

セグロカッコウの情報をお寄せください

バードリサーチニュース2018年9月: 1 【参加募集】
著者:植田睦之

西日本で繁殖記録がでてきているミヤマホオジロ(撮影 豊田敏則 )

 ジョウビタキ。そしてミヤマホオジロ。最近,日本で繁殖を始め,定着しだした鳥がいます。バードリサーチが事務局を勤めている「全国鳥類繁殖分布調査」では,現在,全国の鳥の繁殖分布を調べており,こうした新たに繁殖するようになった鳥の分布も調べています。
 では,次に繁殖が始まる鳥は何だと思いますか? みなさん一家言あると思いますが,ぼくの一押しのはセグロカッコウです。

 セグロカッコウは日本の近くでは中国やロシアで繁殖している鳥です。オウチュウの仲間,オナガ,アカモズなどに托卵することが知られており,宿主の大きさ・分類群・生息環境の多様さを考えると,いろいろな鳥に托卵する潜在能力がありそうです。セグロカッコウはこれまでは迷鳥や数少ない旅鳥と言われていましたが,最近その記録が増えていて,もしかすると繁殖をしているかもしれないのです。

図1 増加している「フィールドノート」に寄せられたセグロカッコウの記録

増えているセグロカッコウの記録

 セグロカッコウの記録が増えているかどうかを明らかにするため,バードリサーチの野鳥記録システム「フィールドノート」に登録されたセグロカッコウの記録を期間別に集計してみました。同じ場所・同じ年の記録は1データとして,その件数をまとめると,2000年代前半までは,数例の記録しかなかったのが,2000年代後半から増え始め,その記録は増加傾向にあります。2010年代後半は,まだ2019年を残しているにもかかわらず,最多の9件の情報が寄せられました(図1)。

図2 2010年以降のセグロカッコウの記録.:6月中旬以降の記録,:それ以前の記録

 さらに,環境省モニタリングサイト1000の調査でセグロカッコウが記録された地点数も第1期(2003-07年)と第2期(2008-12年)がともに3か所だったのに対して,第3期(2013-17年)には6か所と倍増しました。
 これらの記録に全国鳥類繁殖分布調査のデータを加え,2010年以降のデータを図示すると,渡り通過ではなく「繁殖の可能性のありそう」な6月中旬以降のデータが集中している場所が大分県や島根県にありました(図2)。これらの場所ではもしかすると,すでに繁殖を開始しているのかもしれません。

セグロカッコウ情報お寄せください

 そこで,セグロカッコウの情報収集を始めました。托卵をするカッコウ類だけになかなか繁殖の確認は難しいと思います。しかしその特徴的な声で生息の記録は容易な鳥です。
 セグロカッコウの記録をお持ちの方はぜひ情報をお寄せください。繁殖期の長期の滞在記録は繁殖の可能性を示唆します。滞在記録をお持ちの方はその期間もお知らせください。情報をホームページで地図で位置を選択して送信いただくことができます。また,エクセルなどで情報をお持ちの方は,その記録をお送りいただくのも歓迎です。そうしたデータは植田宛てにメールでお送りください。よろしくお願いいたします。

セグロカッコウの声を聞く
 https://db3.bird-research.jp/saezuri/birdsong/detail/371

情報を送る
 http://www.bird-atlas.jp/segurokakko/sk.html

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