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研究誌新着論文:カラス類に荒らされないゴミ収集容器

バードリサーチニュース2017年11月: 2 【研究誌】
著者:植田睦之

調査中,お弁当を狙ってやってきたハシブトガラス

 

 カラスがゴミを散らかすことが各地で問題になっています。散らかすのが紙ゴミではなく,生ゴミなので,嫌がられるのはよくわかります。その対策について函館で検討した論文が,公開されました。


石川尭海・荒 奏美・三上 修(2017)どのようなごみ収集容器であればカラス類に荒らされないのか:函館市の事例.Bird Research 13: A43-A53.


 石川さんたちは,北海道函館市で「夏と冬で対策を変える必要があるか」「ごみを出す時間帯の影響はあるか」そして「函館でよく使われている金属製メッシュ容器にゴミを入れてゴミ出しをする場合に,どんな容器だと荒らされやすいか」について調査しました。その結果,ゴミを荒らされないためには,夏と冬で対策を変える必要はないが,冬期にはより注意が必要であること,ごみ収集容器にごみを入れすぎないこと,ごみ収集容器の網目は小さくすること,ゴミ収集の直前に出すことが有効であることがわかりました.
 函館では金属網で囲われたしっかりとしたゴミ容器にゴミを入れていますが,このような広い設置場所が必要な対策は,道が狭く混みあっている東京だと難しいでしょう。この論文のゴミ対策が,直接参考にできる街は多くないかもしれませんが,「なぜそれが有効なのか」という考察の部分から,それぞれの町のごみ対策を考えることができるのではないかと思います。

論文の閲覧 http://doi.org/10.11211/birdresearch.13.A43

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