バードリサーチニュース

研究誌新着論文:宮古諸島におけるカッコウ科鳥類2種の観察記録

バードリサーチニュース2017年10月: 3 【研究誌】
著者:植田睦之

宮古島で観察されたオオジュウイチ(左)とオニカッコウ(右)


 北へと分布を拡大するリュウキュウサンショウクイ(全国鳥類繁殖分布調査ニュースレター8号),北海道で分布を拡大しているオオヨシキリ(2017年8月号)。鳥の世界では南から北への分布の拡大がトレンドです。そんな中,将来,日本で繁殖が確認されるかもしれない南国の鳥がいます。それはオオジュウイチ そして オニカッコウです。彼らの宮古島での通過と越夏の記録が,今回,論文としてまとまりました。

浜地 歩・植村慎吾・仲地邦博・高木昌興(2017)宮古諸島におけるカッコウ科鳥類2種の観察記録.Bird Research 13: S27-S33.

 浜地さんたちは,宮古島でリュウキュウアカショウビンの生態調査をしていますが,その調査の際に,2015年から2017年まで,毎年,オオジュウイチとオニカッコウを観察したそうです。特にオニカッコウは複数羽での長期滞在が確認され,繁殖の可能性も考えられました.宮古島以外の地域においても,この2種の記録は増加傾向にあり,今後分布を拡大し,繁殖も記録される可能性がありそうです。
 「全国繁殖分布調査」は2020年で調査が終了します。それまでにこれらの鳥の繁殖が確認され「繁殖種」として記載されるでしょうか?

論文の閲覧 http://doi.org/10.11211/birdresearch.13.S27