時の経つのは速いものです。全国の鳥の分布や過去からの変化を調べている「全国鳥類繁殖分布調査」も,ついに最終年を迎えました。調査を始めてから5年,準備を始めてからはもう7年が経ったのですが,本当にあっという間でした。
この調査の調査地は,全国に2345コースあるのですが,皆さんのご参加のおかげで,すでに98.9%の調査地からデータを収集することができています。
その結果,ウグイスが水平分布も垂直分布(低いところから高いところまで)も最も広いことや(図1),ガビチョウやソウシチョウなどの外来鳥が最も分布を拡げている鳥であること,コアジサシが最も分布を縮小している種であることなどが明らかになってきました。
調査結果の概要は,YouTubeでも報告していますので,興味のある方はご覧ください。
https://youtu.be/n-fswx9PeU4
必要な分布図確認作業
現在こうした集計作業を行なっていますが,それと並行して,全種の分布図を作成する作業をしています。この作業を進めるうえで,いくつか問題があります。
1つは誤った分布状況の精査です。調査は渡りのピークを過ぎたころに行なっていただいていますが,冬鳥がまだ残っていたり,渡りの途中の個体が観察されたりといったことがあります。こちらでも,そうした可能性のあるデータは,調査者に問い合わせして,観察コードを渡りの途中のものへと変更したりして,繁殖していない記録が,繁殖分布に反映されないようにしています。しかし,各地の鳥類相をよく知っている人でなければ,そうした記録を完全に精査することはできません。
2つめは,現地調査で記録できなかった鳥の補完です。1回の現地調査でその場所に生息している鳥の全てを記録することは不可能ですし,また,コースは森林に配置されることが多いので,森林に生息していない種は,記録されず,分布図に反映できていないことがあると思われます。こうした記録についてはアンケート調査で補完していく必要があります。
そこで,各地の鳥類相に詳しい皆さんに,分布図の確認とアンケート調査へのご協力をお願いできないでしょうか? 現時点の分布図は県別にまとめたものをhttps://www.bird-atlas.jp/result/map.html からご覧いただくことができます(未完成の分布図ですので,誤った情報が拡散してしまうことを避けるため,10月初めには一度このページは閉鎖します)。
・分布図に間違いがある場合
皆さんの在住の都道府県の分布図をご覧いただき,間違いをみつけたら,その記録と,間違いと考えられる理由を地図上に書き込んで,そのページをメール等でお送りください。
・分布図に漏れがある場合
アンケート調査にて,情報をお知らせいただけないでしょうか?
アンケートフォームでご報告いただく場合
http://www.bird-atlas.jp/bbaq.html
エクセルでお送りいただく場合(送付先はbbs@bird-research.jp)
https://www.bird-atlas.jp/data/bbaq.xlsm
こうした方法が面倒な場合は,上記地図に直接ご記入いただき,お送りいても構いません。その場合は,観察者,観察年月(日はなくても良いです),観察コード(https://www.bird-atlas.jp/anketo2.pdf)を記入してください。
詳細は県別分布図のページの1ページ目に書いてありますが,不明点があれば,植田(mj-ueta@bird-research.jp)までご連絡ください。
繁殖分布調査完成に向けて,最後のご協力,よろしくお願いいたします。