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雌がさえずらないのは子の安全のため? ~ 雌のさえずりがヒナの捕食を増やすルリオーストラリアムシクイ ~

野鳥の不思議解明最前線 No. 125 【野鳥の不思議】
著者:植田睦之
雌もさえずるサンコウチョウ。良くなく雌は捕食率が高いのだろうか?(撮影:三木敏史)

雌もさえずるサンコウチョウ。よく鳴く雌の巣は捕食率が高いのだろうか?(撮影:三木敏史)


 3月になりました。留鳥の繁殖活動が活発になる時期です。先週,秩父に行っていたのですが,カワガラスが巣材を運んだり,となりのつがいと争ったりしていました。季節前線ウォッチにもウグイスの初鳴き情報が続々と届いていて,さえずりが活発になってきたようです。
 ほとんどの鳥は,雄だけがさえずります。その理由の1つはさえずりが雌のつがい相手選択に使われているためです。複雑な声で鳴く雄のほうが雌につがい相手に選ばれたり,早くから鳴く雄が選ばれたりするということが知られています。
 ただ,さえずりの機能は雌を呼ぶことだけではありません。なわばり防衛の機能もあります。それを考えると,雄だけでなく雌もさえずって良いように思います。ルリオーストラリアムシクイ Malurus cyaneus は雌もさえずる鳥ですが,この鳥の研究から,雌がさえずることで,卵やヒナの捕食が増えてしまい,それが雌のさえずりを制限している可能性が見えてきました。

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紹介した論文
Kleindorfer S, Evans C & Mahr K (2016) Female in-nest chatter song increases predation.  Biol Lett 12: 20150513.