バードリサーチニュース

ハクセキレイの分布は北から南へ,そして西からも? 全国鳥類繁殖分布調査から見える分布の変化

バードリサーチニュース2018年10月: 1 【活動報告】
著者:植田睦之

ハクセキレイ(小野安行)

 「足元にテケテケ歩いている小さい鳥がいるんだけど,あれは何?」
 コンビニの駐車場などで見られることも多くなり,関東ではハクセキレイは,一般の人にとっても最も身近な鳥の一つになっています。関東で繁殖するようになったのはもうずいぶんと前のことですが,それがどんどんと南へと進み,全国を席巻しようとしている様子が,現在行なっている全国鳥類繁殖分布調査で見えてきています。そして,北から南への分布拡大の流れとは別に九州からの分布拡大の流れもあるようです。

南へと拡がるハクセキレイの分布

図1 地域別のハクセキレイの1990年代と今回の記録状況の変化

 2016年から始まった全国鳥類繁殖分布調査は現時点で1626コースの調査が終了しています。1970年代と1990年代にも同様の調査が行なわれており,当時のコースの71%を調査することができました。20年もたつと,道がなくなったりして必ずしも同じコースを調査できているわけではありません。そこで,調査コースの変更が軽微なコースを選び,ハクセキレイの分布変化を見てみました。
 北海道,東北,関東,…と地域別に,1990年代の調査と比べて「新たにハクセキレイが出現した場所」,「両年代共に記録できた場所」,「今回記録できなかった場所」に分けて集計すると,北から南へと「新たに出現した場所」の割合が高くなっていました(図1)。このことは,ハクセキレイの分布拡大が北から南へ進んでいることを示しています。その中で,九州だけは中国・四国地方よりも先に記録されたコースが現れています。何が起きているのでしょうか? 1970年代,1990年代,そしてまだ途中の段階ですが今回の調査の分布図を比べてみました。

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