バードリサーチニュース

図書紹介:鳥の卵 小さなカプセルに秘められた大きな謎 ティム・バークヘッド著 黒沢令子訳 白揚社 定価2,700円(税別)

バードリサーチニュース2018年8月: 4 【図書紹介】
著者:高木憲太郎

鳥の卵 小さなカプセルに秘められた大きな謎 ティム・バークヘッド著 黒沢令子訳 出版社名 :白揚社 ISBN :978-4-8269-0203-8 定価 :2,700円(税別)

 嘱託研究員の黒沢が翻訳した本なのですが、「はじめに」の文章を読んでみたところ、とても興味を引かれたので、読んでみることにしました。
 ストーリーの軸を成すのは鋭端が尖り青色が美しいウミガラスの卵です。その色や多彩な模様は多くの人々を惹きつけてきました。それだけではなく、一般的な卵とは違う不思議な形も注目を集めました。ウミガラスは海に面した断崖絶壁の狭い岩棚で繁殖します。そこで、この形なら、卵が転がっても同じ場所でくるくる回り、崖から落ちにくいのではないか、と言われていました。しかし、この説を疑ってかかった著者のバークヘッド氏は、過去の論文を見直して調べていくうちに、「この説が間違いだ」とまでは言えないことがわかってきました。かと言って、崖から落ちないという理由だけで、卵の形を説明することもできない。バークヘッド氏が、卵がどのように形成されるのか、形や色の進化、卵の持つ機能を紐解いていく中で、たどり着いた結論とは?
 本書では、卵の形は殻が形成される前に決まっているとか、殻を作るためにカルシウムが必要で、それは卵巣から子宮に行く道すがらスプレーのように周りから吹き付けられるのだとか、カルシウムが少ない森のシジュウカラが殻のない卵を産むのに、同じ森に棲むマダラヒタキはあるものを食べていたからその症状が起きないとか、転卵ができないキウィは卵白の割合が少ない卵のおかげで無事孵化ができるのだとか、たくさんの鳥類学の知識が、間違った仮説が覆されていく過程とともに紹介されています。
 え?結論?ヒントは、卵は硬い殻を通して呼吸をしている、ということです。それ以上は、読んでいただいてのお楽しみ、ということで。

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