バードリサーチニュース

オオバンは全国的に増加、ところにより減少

【活動報告】
著者:神山和夫・加藤貴大

1980年頃からオオバンが増えている

写真1.オオバン

 オオバンは体全体がまっ黒でくちばしと額が白い水鳥です。カモに似ていますがオオバンはカモ目ではなくツル目に属しており、カモの水かきは足の指の間が膜でつながった構造をしているのに対して、オオバンの水かきは指の両側が平たく広がった構造をしています(写真1)。オオバンは1960年代までは秋田県以北で繁殖し、越冬期には西日本へ渡ってくる鳥でした。それが1980年代から日本での越冬・繁殖分布が広がり始め、1990年代以降は九州より北のほとんどの県で繁殖・越冬(沖縄は越冬のみ)するようになりました。特に越冬個体は驚くほどの急増ぶりで、最大の越冬地と考えられる琵琶湖では、野鳥の会滋賀の全域調査が始まった2005年1月に13,743羽だったのが、2016年1月には82,928羽になりました(図1)。このような急増は各地で起きているようですが、全国を網羅する環境省のガンカモ類の生息調査ではオオバンが調査対象になっていないため、国内の分布や個体数について詳しいことは分かっていません。そこで、全国を網羅とまでは言えませんが、バードリサーチに集まっているモニタリングデータを使ってオオバンの越冬個体数の変化を分析してみました。

図1.滋賀県のオオバンの個体数。棒は琵琶湖、線は滋賀県の琵琶湖以外の河川湖沼(データ提供 野鳥の会滋賀. 2004/05は2005年1月の実施)

2010年代にオオバンが増加した地点が多い

図2.分析したオオバン越冬地と増減傾向

 バードリサーチに集まっている水鳥のモニタリングデータには、会員の皆さんに参加していただいている身近なガンカモ調査や、環境省のモニタリングサイト1000・渡り鳥飛来状況調査などがあります。これらの調査では2004/05年以降の記録が多いので、この年を起点にして2017/18年までの13年間データを対象に分析しました。越冬期の個体数が安定する12-1月のオオバンの最大個体数が30羽を超えたことのある調査地を対象に、一般化線型モデルという手法を使って個体数の年変化が有意に増加した地点(増加グループ)、有意に減少した地点(減少グループ)を判定しました。それ以外の地点は個体数変化が小さいか、この分析手法では判定できなかった場所で、それらを変化なし・判定不能グループとしました(図2・記事の最後に全グラフのPDFがある)。

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参考文献
橋本啓史. 2013. オオバン(生態図鑑). Bird Research News. Vol.10 No.2:6-7