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カッコウは鳥類の多様性の指標になるか

【その他】
著者:佐藤望

写真:カッコウの幼鳥。子育ては他の鳥がおこなう(三木敏史撮影)

 カッコウは自身で巣作りや抱卵をせず、モズやオオヨシキリなど(宿主といいます)の巣に卵を産みこんで、子育てを押し付けます。他種に温められたカッコウは孵化すると、巣内の他の卵を巣の外に放り出します。このような繁殖方法は托卵と呼ばれていて、これまで多くの生物学者が好んで研究をしてきました。托卵は古くから知られていたようで、動物学の祖と言われているアリストテレスが書いた「動物誌」にカッコウの托卵は登場します。

カッコウが鳥類の多様性の指標になりうる

 そんなカッコウですが、最近は鳥類の多様性の指標種となるのでは、という研究が報告されています。つまり、カッコウがいる場所とそうでない場所では、カッコウのいる場所の方が多くの種数がいるという事です。たとえばポーランドの農地でカッコウの有無と鳥類の種数を調べたところ、カッコウがいる農地の方がいない農地よりも種数が多く、その傾向は同じく指標種となりうる最高位の捕食者(ヨーロッパノスリやオオタカなど)よりも強い事を示しています(TryjanowskiとMorelli 2015)。また、別の研究ではヨーロッパの7か国でも同様の結果を報告しています(Morelliら 2015)。

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カッコウが指標種になるメリット

 日本でも環境の指標として、オオタカやクマタカの調査が行われていますが、見つける事が難しく、専門的な調査能力が必要です。一方、カッコウは姿が見えにくいものの、鳴き声が特徴的で遠くからも聞こえるので鳴いていれば認識する事が容易な種です。そのため、カッコウが指標種になるのであれば、市民調査によって広域的に調査する事も可能です。このようにカッコウが指標種になるかもしれないというのは、非常に魅力的ですが、今回の分析からは、もう少し詳細な検討の必要性を感じました。

 

 

参考文献

Morelli, F. et al. (2015) Cuckoo and biodiversity: Testing the correlation between species occurrence and bird species richness in Europe. Biol. Conserv. 190, 123–132. 13.

Morelli, F. et al. (2017) The common cuckoo is an effective indicator of high bird species richness in Asia and Europe. Sci. Rep. 7, 4376.

Tryjanowski, P. & Morelli, F. (2015) Presence of Cuckoo reliably indicates high bird diversity: A case study in a farmland area. Ecol. Indic. 55, 52–58.

植田睦之,福井晶子,山浦悠一,山本裕 (2011) 全国的な生態観測調査「モニタリングサイト1000」で見えてきた日本の森林性鳥類の分布状況. 日本鳥学会誌 60: 19-34