バードリサーチニュース

川底の藻を食べるコハクチョウ

バードリサーチニュース2018年2月: 6 【活動報告】
著者:神山和夫

 日本で越冬する二種のハクチョウ類のうち、オオハクチョウは湿地を好む習性が強く、浅海域に生育するアマモや湖沼の水草類を好んで食べます。他方のコハクチョウは水田を餌場にすることが多く、稲の落ち籾や二番穂、水田に生える雑草などを食べています。これらは一般的な習性ですが、両種とも状況に応じて湿地や水田を餌場として利用することもよく見られます。ところが、埼玉県深谷市を流れる荒川で越冬するコハクチョウは川底の石に付着した藻類を食べているようなのです。こうした習性は日本の他の越冬地では知られていないことです。

深谷市のコハクチョウ

写真1. 埼玉県深谷市の荒川のコハクチョウ。首を水に入れて付着藻類を食べている。

 埼玉県には二か所のハクチョウ飛来地があります。ひとつめが今回ご紹介する深谷市の荒川で、群馬県と接する埼玉県の北端に位置しています。もう一か所はそこから約20km南にある県中部の川島町を流れる越辺川(おっぺがわ)です。川島町のコハクチョウは他の越冬地と同じく、朝飛び立って水田の落ち穂を食べ、午後になると越辺川に帰ってきます。ところが、深谷市のコハクチョウは日がな一日川に居て、川底の付着藻類を食べているらしいのです。付着藻類は光合成をする単細胞や多細胞の小さな生物の群集で、川底の石がヌルヌルしているのは藻類が張り付いているせいです。今年1月に石川県羽咋市で開催された日本白鳥の会の集会で、深谷市在住の並木さんご夫婦からその話を伺って、ぜひ見てみたいと思い、並木さんの案内で2月25日に深谷市の荒川にある飛来地を観察してきました。

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