バードリサーチニュース

出水の万羽鶴をドローンでカウント

バードリサーチニュース2018年2月: 1 【活動報告】
著者:神山和夫 原口優子

 鹿児島県出水市の干拓地はナベヅルとマナヅルの越冬地として有名な場所ですが、越冬数が1万羽以上と多く、正確な個体数を数えることが難しくなってきています。また、高病原性鳥インフルエンザが発生すると、調査の中心になっている中学生の参加が減るために羽数調査が中止になってしまいます。そこで、バードリサーチと出水市ツル博物館の協同実験として、ドローンを使ってツルの個体数をカウントすることを試みました。

年々増加する越冬数

図1. 出水に飛来するナベヅルとマナヅルの越冬期の最大個体数。(鹿児島県ツル保護会提供のデータで作図)

 出水で越冬するツルのほとんどはナベヅルとマナヅルです。毎年10月中旬になると、まずナベヅルの飛来が始まり、続いてマナヅルがやってきます。両種ともかつては日本国内の水田地帯で越冬していましたが、いまでは定期的に多数が飛来するのは出水市だけになっています。両種が国内で越冬できる場所は減ってしまいましたが、出水で越冬するナベヅルとマナヅルの個体数は戦後増え続け、1997年以降は毎年1万羽を超えるようになりました。ナベヅルの繁殖地は中国とロシアの国境を流れるアムール川流域から北にかけての山間部にある湿地で、中国南部や朝鮮半島でも越冬しますが、総個体数の約9割にあたる約1万3千羽が出水に飛来していると考えられています。他方のマナヅルの繁殖地はナベヅルとも少し重なりますが、アムール川流域からその南側と、ロシア、モンゴル国内にかけての地域で繁殖しており、総個体数の半数にあたる3千羽前後が出水に飛来していると考えられています。ナベヅルもマナヅルも広大な繁殖地では個体数を把握することができないため、越冬個体の多くが集中する出水で調査される個体数が、両種の保全のために重要な基礎データになっています。

写真1. 出水市の干拓地にある給餌場に集まったナベヅルとマナヅル。

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