バードリサーチニュース

生態図鑑 イスカ

バードリサーチニュース2018年1月: 2 【生態図鑑】
著者:三上かつら・蛯名純一

イスカのオス

○英名 Common Crossbill 

○学名 Loxia curvirostra

○分類 スズメ目 アトリ科

○鳴き声
 飛ぶときはキョッ,キョッまたはピッピッと鳴く.その他オスはマツの梢でケーケーと鳴く他,ビュリュンという声も出す.求愛期には,ピピピピーなど様々な声でさえずる.オスは営巣・抱卵期になると高い声でさえずるのをやめ,低い声でぐぜるように小さく鳴く.このぐぜりは巣立ちヒナを連れて行動をする頃まで続く.

○分布
 世界的には,ユーラシア大陸と北米大陸の両方の亜高山帯や針葉樹林帯に広く分布し,20~21の亜種またはグループに分けられている.シベリア南東部,中国北東部,朝鮮半島,サハリン,クリル諸島,および日本に生息するものが亜種L. c. japonica として認識されている.日本国内へは主に冬鳥として渡来するが,本州の一部(北海道、青森県、長野県など)では繁殖する個体がいる.

○繁殖スケジュール
 青森県下北地方では繁殖期は主に11月から4月まで.1月中旬頃から巣立ちヒナが見られるようになり,2月から営巣を始めるペアもいる.4月末から営巣を始めたり,8月に幼鳥に給餌している個体も観察されているので,ごく一部は春にも繁殖している可能性がある. イスカの繁殖期は,光周期と繁殖地の主要な食物であるマツなどの種子の豊富さの両方に強く影響されると言われている.複数の樹種が混じる北米の針葉樹林ではそれぞれの種子が成熟する時期が異なるため,イスカの繁殖期が何ヶ月にも及ぶことがある.

○食性と採食行動
 マツの種子を好む.交差した嘴をマツの球果の種燐の隙間に差し入れて開き,種子翼ごと引っ張り出したあと,種子のみを食べ,種子翼は外して落とす.マツ科以外では,ブナやカエデなど広葉樹の芽や種子を食べることもある.昆虫を食べた観察記録もある.

いつから嘴は交差するのか
 嘴は一見左右に交差しているが,上嘴は頭の中心線と並行に近く,下嘴がいずれかに強く曲がっている.下北半島の個体群では,下嘴が左に曲がっている個体が多い.日齢の浅いヒナはまだ嘴が交差しておらず,約10日齢を過ぎたころから少しずつ伸長するとともに交差が進むと推測される.

◆その他掲載記事
 ・全長,翼長,尾長,全嘴峰長,ふしょ長,体重
 ・羽色
 ・生息環境
 ・繁殖システム
 ・巣
 ・卵
 ・抱卵・育雛期間
 ・渡り
 ・イスカは世界に何種いるのか
 ・換羽も日和見的

生態図鑑の一覧は,こちらのページでご覧になれます

この記事は有料会員限定です。ログインすると続きをお読みいただけます。

入会・会員区分の変更