バードリサーチニュース

人工照明が渡り鳥を迷わせている

バードリサーチニュース2017年12月: 2 【論文紹介】
著者:神山和夫

 今年の8月30日、宮城球場で行われた楽天×西武の試合中にアカエリヒレアシシギの群れが飛び回り、試合が中断したことがありました(こちらに動画があります)。アカエリヒレアシシギが球場の照明に引き寄せられた例は過去にもあって、山階鳥類研究所には採集地が「後楽園球場(東京ドームの前身)」とラベルされた標本があるそうです。世界各地で人が住む都市は年々明るさを増していますが、夜空を飛んでいる鳥たちはアカエリヒレアシシギのように光に迷わされていないでしょうか? ニューヨークのライトアップ行事の調査から、人工照明が夜間に空を渡る野鳥の行動に強い影響を与えていることが明らかになりました。

Tribute in Light(2010/9/11撮影)。雲で光が乱反射すれば、空に明るい光源が出現する。(Official Marine Corps photo by Sgt. Randall A. Clinton)

 人工照明と野鳥の関係を調べる調査地になったのは、2001年航空機テロ事件を記念して、ニューヨークで毎年9月11日に一晩だけ点灯される「Tribute in Light」です。これはサーチライトのような強く青い光を上空に向けて照射する行事で、この光は100km離れた場所からも見えるそうです。調査は2008~2016年のあいだ雨天の2年を除く5年間行われましたが、この行事が野鳥の渡りが盛んな時期と重なることもあって、調査の結果からライトアップされた5夜の間に、照明から半径5kmの範囲で110万羽の渡り鳥の行動に影響が出ていたと推定されています。

この記事は有料会員限定です。ログインすると続きをお読みいただけます。

入会・会員区分の変更

Benjamin M. Van Doren, Kyle G. Horton, Adriaan M. Dokter, Holger Klinck, Susan B. Elbin, and Andrew Farnsworth. High-intensity urban light installation dramatically alters nocturnal bird migration. PNAS 2017 114 (42) 11175-11180.