「キェ キェ」空から響く怪鳥のような声。20年前には一部の地域でしか見られなかったホンセイインコの声です。今年から始まった東京都鳥類繁殖分布調査では90年代の調査では聞かれなかった多くのメッシュでその声が聞かれるようになりました。まだ一部の調査地のデータしか得られていませんが,このホンセイインコの増加以外にも,カワラヒワの減少,スズメが都心部で増加し,郊外で減少するなど20年前からの鳥たちの変化が見えてきました。
たくさんの団体の共同調査
東京都鳥類繁殖分布調査は「全国鳥類繁殖分布調査」の詳細調査としてスタートしました。「全国」が20kmメッシュで調査しているのに対し,こちらは1kmメッシュ。詳細な調査を実施します。バードリサーチをはじめとした17団体の共同調査として,2020年までに東京都の1kmメッシュを網羅的に調査することを目指します。
ニュースレター2月号でも紹介しましたが,この調査は1970年代,1990年代に東京都により行なわれています。その結果と比べることで,鳥たちの分布や個体数の変化を知ることが出来ます。まだ調査は始まったばかりですが,すでに81メッシュが調査され,うち36メッシュは前回も現地調査が実施された場所です。この36メッシュの結果をもとに鳥たちの変化を見てみましょう。
分布が広がった外来鳥やメジロ,狭まったカワラヒワ
各メッシュの記録の有無を基に分布の変化を見てみると,分布が拡がった種には冒頭であげたホンセイインコやガビチョウがあげられます。同じ外来鳥でもコジュケイは6メッシュから1メッシュになっており,分布が狭まっているようです。
メジロとウグイスも分布が拡大傾向にありました。メジロは1970年代から1990年代にかけても分布が拡がっており,その分布拡大が都心部へと拡がっているようです。街路樹などの生長により生息できる場所が拡がったのだと思います。ウグイスは山間部ではシカがササを食べつくしてしまうことで減少が言われていますが,低地では分布を拡げているようです。雑木林や公園の林が生長して,一部に藪ができていることが効いているのでしょうか。
逆に分布が狭まった鳥にはカワラヒワがいました。東京郊外や河川沿いではまだまだ普通に見られる鳥ですが,住宅地や都市域では生息できなくなっているようです。オナガも同様に減少傾向にありました。
まだ調査メッシュ数が少なく,増減の判定が難しい種が多いので,今後,さらにデータを収集し,どのような種が,どのような場所で分布が変化しているのかを明らかにしていきたいと思います。
個体数が増えたムクドリと郊外部で減っているスズメ
個体数について,5羽以上の増減のあるメッシュについて見てみました。増加しているメッシュが多かったのがムクドリで,14メッシュで5羽以上個体数が増加していました。スズメについては,増加したメッシュが12,減少したメッシュが19と場所により様々で,この増減を地図に落としてみると,郊外部では減少しているメッシュが多く,都心部では増加しているメッシュが多いようです。その原因はよくわかりません。いままで採食場所の乏しかった都心部の街路樹の生長などで採食環境が良くなったのでしょうか? データを蓄積して,環境との関係を見ていくことで,原因を探索していきたいと思います。
調査に参加ください
東京都およびその近郊にお住まいの方,調査に参加しませんか? 今年はもう調査の適期を過ぎつつあるので,ぜひ来年の調査に向けて調査者登録/調査地登録してください。珍しい鳥はみられませんが,身近な鳥の意外な変化を見るのはけっこう楽しいものです。それと最近体脂肪が気になっているあなたにもお勧めです。植田の体脂肪は調査開始前の17.1%から6月10日現在12.2%まで下がりました。佐藤は体重は変わらないものの身体が引き締まった気がしています。トクホよりラインセンサス。お勧めです。
調査参加のページ http://www.bird-atlas.jp/tokyo/