バードリサーチニュース

道具を使うハワイガラス

【論文紹介】
著者:近藤紀子

 道具を使う動物は、かつては人間だけだと考えられていましたが、動物行動の研究が進むにつれ、人間以外の動物も道具を使うことが明らかになってきています。鳥類では、ガラパゴスに住むキツツキフィンチなどが道具を使う鳥として知られています。(日本のハシボソガラスは車にクルミをひかせて割ることが知られていますが、「道具使用」というときには、自らで道具を保持し、対象物に対して何らかの操作を加えることを指します。)最近、道具を使えるだけでなく作成することで一躍有名になったのが、カレドニアガラスです。カレドニアガラスは小枝やトゲのある葉を加工して道具を作り、採餌に使います。これだけ聞くと、「カラスは道具も使えて賢い」という印象を強く与えますが、カラス属のなかで道具を自発的に使えるのは、これまではカレドニアガラスしか知られていませんでした。

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道具作成・使用で有名なカレドニアガラス

 しかし、カレドニアガラスの他にも道具を使えるカラスがいることが、セントアンドリュース大学のルッツ博士たちの研究チームによって明らかになりました。ハワイ固有種のハワイガラスです。ハワイガラスはすでに野生下では絶滅しており、現在は109羽(2013年現在)が飼育されているのみです。研究チームは、ハワイガラス104羽について実験をおこない、彼らが自発的に道具を使用することを明らかにしました。丸太や実験装置の穴や隙間に餌を隠し、その手前に小枝や葉のついた枝を置いておいたところ、ハワイガラスは適切な長さの枝を道具として使用し、ほとんどの場合60秒以内に餌を獲得することができました。小枝を加工して使いやすくしたり、葉のついた枝から道具を作成したりするといった行動も見られたそうです。

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ハワイガラスが道具を使っている様子は、以下の動画でご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZOUyrtWeW4Q

 今回ご紹介した論文
Rutz, C. et al. (2016).  Species-wide tool use in the Hawaiian crow. Nature 537, 403–407.