バードリサーチニュース

日本鳥学会2016年度大会 参加報告

バードリサーチニュース2016年9月: 4 【学会情報】
著者:加藤ななえ

 9月16~19日に北海道大学で開かれた日本鳥学会大会に参加してきました。
 9月の連休ということで、空港も札幌の街中も観光客であふれていました。オータムフェスタでにぎわっている大通公園の街路樹も少し色づいてきて、北海道の夏は急ぎ足に過ぎようとしていました。

図1.ポスター発表会場のようす

図1.ポスター発表会場のようす

 大会の新しい企画として、17日と18日にプレナリー(特別)講演が設けられました。藤巻裕蔵さんの「北海道における鳥類の繁殖期の分布の鳥類相の特徴」、正富宏之さんの「種の生活史を追う面白さ-タンチョウを例として-」が、朝一番の時間帯にあり、地元、北海道で長く継続されてこられた研究について聞くことができました。
 口頭発表は2会場で59題、ポスター発表が125題、高校生(小中学生)のポスター発表が17題、そのほかに自由集会が19題、そして黒田賞受賞講演や公開シンポジウム「恐竜学者の鳥のはなしと鳥類学者の恐竜のはなし」がありました。また、バードリサーチ調査研究支援プロジェクトで支援させていただいた研究も多数発表されていました。発表の中から、いくつかご紹介します。

日本鳥学会2016年度大会のホームページ(http://osj-2016.ornithology.jp/)

■UAVを用いたマガンねぐらの環境収容力の推定  (嶋田哲郎・神山和夫・森晃・藤本泰文)
 日本に飛来するマガンの9割以上もの群れが、宮城県の伊豆沼・内沼などで越冬しているそうです。ガンの仲間は、夜間に広い水面をねぐらとして利用します。しかし、伊豆沼・内沼では近年ハスが水面の85%をも占めるほど増えてきています。ハスが増えると、マガンがねぐらとして利用できる開けた水面が減少することになり、保全の課題となっています。そこで嶋田さんたちは、ハスの除去対策と並行して、UAV(ドローン)を使って、伊豆沼・内沼のマガンのねぐらとしての環境収容力を推定しました。ドローンで空中から撮影したマガンの写真から個体間の距離を測ったところ、約1.2~1.3mであることがわかり、この個体間距離と個体数から、マガンにとって必要な水面の面積を推定し、その面積がねぐらとして利用が可能な水面のどのくらいの割合を占めるのかを求めました。そして、マガンにとって必要な水面は13.2~18.9haと推定され、ハスのない、ねぐらとして利用可能な水面の22.9~32.5%を占めることが明らかになりました。地上からでは鳥たちによる利用の実態がなかなか把握しづらい広い水面で、UAVが活用された良い例だと思いました。

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入会・会員区分の変更

 このほかにもたくさんの発表があり、とても勉強になりました。プレナリー講演やシンポジウムでは会場に人が入りきれないほどの盛況でした。参加者は500名以上あったそうで、赤いTシャツを着たスタッフのみなさんが、大会運営に走り回っておりました。有意義で楽しい時間を過ごせたのは、このような裏方さんたちのおかげです。ありがとうございました。