バードリサーチニュース

カモの性比 どうしてオスが多いのか?

野鳥の不思議解明最前線 No. 123 【野鳥の不思議】
著者:神山和夫
オシドリ

これまでの調査で、オシドリはオス比率が60%前後の調査地が多い。どうしてオスの方が多いのだろう?

あけまして、おめでとうございます。

バードリサーチでは、2016年1月10~31日まで、カモの性比調査を実施します。ご近所の池や川でカモの雌雄をカウントするだけの簡単な調査ですので、どうぞご協力をお願いいたします。
調査方法やこれまでの分析結果は、こちらのページをご覧下さい。

 さて、いろいろな生きもので性比は1:1ではありません。カモもそうですが、いちばん身近な例は私たち人間でしょう。日本の2014年の出生時性比は男:女=1.06:1で、生まれてくる赤ん坊は男の子の方が多いのです。これは日本だけの現象ではなく、他の国でも同じような男女比率になっているそうです。しかし男性の方が短命なため、ある年齢で男女比は1:1になり、さらに年齢が高くなるにつれて女性人口の方が多くなっていきます。
 バードリサーチが行っているカモの性比調査は性比に地域差があるかを調べることが目的ですが、すべての調査地で性比を見てみると、マガモやコガモは雌雄が半々に近い調査地が多いのに対して、ホシハジロやオシドリはほとんどの調査地でオスの方が多く見られました。ただし、カモの性比調査で私たちが見ているのは卵からヒナが孵化した時の性比ではなく、その時点で生存していた個体の性比です。私たちが観察しているカモの性比は、孵化したときの性比そのままなのでしょうか、それとも雌雄どちらかが短命なために性比は変わってしまうのでしょうか?

孵化時の性比は 1:1
 ラトビアのPeter Blumsさんらが野生のハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロの卵から孵化した直後のヒナを調べたところ、いずれの種でもオス・メスの比率は1:1に近く、性比の偏りは見られませんでした。繁殖時期、ヒナの体重、一腹卵数、メス親の体重、メス親の年齢を考慮して分析しても、やはり偏りはなかったそうです。
 このことからBlumさんらは、カモの仲間は孵化した後の成長する過程で、メスの方が死にやすいのではないかと考えました。そしてその理由として、カモではオスの方がメスよりも優位で、よい餌場を占有している可能性を挙げています。さらに、つがい形成をしたメスは優位性が上がるのでよい餌場に行けるようになりますが、つがい形成時期が遅いホシハジロのような種では、越冬中のほとんどの期間でメスが劣位にあるためにエサ不足になるとメスの死亡が増え、そのせいでオス比率が高くなっているのではないかと推測しています。

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