バードリサーチニュース

研究誌新着論文:四国でのヒクイナの越冬状況

バードリサーチニュース 2022年4月: 1 【研究誌】
著者:植田睦之

クイナ類はアシ原の中などに潜んでいて見つけにくいこともあり,これまであまり調査されてきませんでした。ところが最近はプレイバックをつかった調査手法の確立で多くの調査がされるようになり,BR誌でも毎巻のようにクイナ類の論文が掲載されています。今回の論文は,今まで越冬状況が不明だった四国でのヒクイナの越冬状況を調べた論文です。


籠島恵介 (2022) ヒクイナの香川県および徳島県における越冬状況.Bird Research 18: S1-S4.

論文の閲覧:https://doi.org/10.11211/birdresearch.18.S1


 籠島さんが,プレイバック法を使って香川県と徳島県のアシ原を調査したところ,45か所中22か所でヒクイナの生息を確認することができました。各地点 1回しか調査していないので,越冬期を通してその場所に生息していたかはわかりませんが,調査を行なった10月から1月を通して多数のヒクイナが確認できたので,四国ではヒクイナは普通に越冬していると考えられました。また,この調査では,地図とGoogleEarthの航空写真を使って,石の多そうな場所は調査地にしないとか,休耕田は谷地形の場所以外は調査地にしないなど,水分の多そうなアシ原を選んで調査することで,効率的にヒクイナを確認できたようです。Googleのストリートビューや地方整備局などが公開している路面カメラなど使えば,調査地に行く道の状況も確認でき,安全に調査することができると思いますので,みなさんも効率よく,そして安全に調査をするために,気軽に利用できるようになったこうした画像資料を活用してみてください。