インターネット・バードソンは、全国のバードウォッチャーが期間内に見聞きした野鳥の観察記録を野鳥記録データベース「フィールドノート」に登録して種数を競う競技です。2021年5月22日~6月6日に開催した第5回大会には264名の方が参加して、2,364カ所で3,445回の野鳥観察が記録されました。観察地点数と観察回数は、これまで最高になりました。皆さんの観察地点を図1に示します。
地域による種数の違いは少ない
今回のバードソンでは、これまでの全国順位に加えて地域別の順位も表示するようにしました(表2)。地域別順位は参加者の居住地ではなく対象地域ごとに種数をカウントしているので、複数の地域で観察すると全国順位は高くても、種数が各地域に分散するので地域別順位は低くなる仕組みです。全国順位(表1)のトップ3は145種、138種、131種で北海道、東北の参加者が占めました。繁殖期は北の地方が有利になるかと思っていましたが、続く4-5位には西日本と中部の方がランクインし、関東と近畿はやや種数が少ないという結果になりました。この季節は東北・北海道がやや有利かもしれませんが、山から海まで観察していくと、どの地域でもトップ10入りできる可能性があるでしょう。
観察記録ハイライト
種の記録回数を見ると、バードウォッチャーが憧れる野鳥が意外とよく見られていることに気付きました。夏鳥に限った記録回数ではサンコウチョウが172回で13位、アカショウビンはやや下がりますが64回で27位です。参加者の皆さんが環境のいい場所で観察したせいはあるでしょうが、鳥類繁殖分布調査でも、両種は夏鳥の減少が話題になった20年前の調査ににくらべて増加していることが分かっています。今後も分布情報を集めていきたいので、バードソンが終わっても、引き続き観察記録をフィールドノートに入力してもらえると、ありがたいです。フィールドノートでは観察者が増えると攪乱されやすい種は非公開なので、所在地が公になる心配はありません。
それから、数は少ないのですが、イスカとジョウビタキが各々15カ所で記録されていました。昨春のバードソンでは4カ所と7カ所なので、それに比べて今年はたくさん見つかっています。イスカは本州でも局所的には繁殖していますし、ジョウビタキは八ヶ岳周辺や中国山地で繁殖記録が増えています。この2種は冬鳥なので居残りという可能性もあり、繁殖までしているかは確認が必要ですが、皆さんのバードウォッチング記録から新しい繁殖地が見つかる可能性があります。
今回もたくさんのご参加、ありがとうございました。賞品を提供してくださった興和オプトロニクス株式会社、加藤ゆきさん、和田岳さん、黒沢令子さんにお礼申し上げます。それでは、次回はお正月のインターネット・バードソンでお会いしましょう。
※ 地域別順位の区分(各順位ページへリンクしています)