○分類 キジ目 キジ科
○鳴き声
繁殖期には雄は「ケンケン」と1-5分おきに鳴き,連続で1時間半以上も鳴くことがある。「ケンケン」と鳴いた後は翼を激しく振わせて「ドドドド」という羽音をたてる母衣打ち(ほろうち)をする。
○分布
在来のキジは留鳥で,積雪の山地では低地に移動することもある。亜種キジは北日本に分布し,東日本以西の本州と四国に亜種トウカイキジ,三浦・伊豆・紀伊半島と屋久島,種子島に亜種シマキジ,九州と中国・四国の一部に亜種キュウシュウキジが分布する。移入されたキジは亜種コウライキジで北海道と対馬,本州・四国・九州の一部、琉球諸島などに生息する。
○生息環境
農耕地,雑木林やその周辺の草地,竹藪,笹藪,河川敷の草地,草原,丘陵地などに生息する。
○食性と採食行動
雑食性で,植物質ではハコベ,ヨモギ,ツクシ,ドングリ,キイチゴ,ヤマブドウ,キビ,アワ,ムギ,キャベツ,サツマイモなど葉や花,実,根を食べ,動物質ではバッタ,イナゴ,キリギリス,テントウムシ,カミキリムシ,コガネムシ,カマキリ,ハエ,ハチ,コオロギ,アリ,カタツムリ,ナメクジ,ミノムシ,クモ,チョウやガの幼虫などを食べる。
○ケンケンという高鳴きで個体識別が可能
人が声で誰だかわかるように,キジも声で個体識別が可能である.雄キジの高鳴きの声紋も1羽ごとに異なっていて,その違いをパラメータで表わし,解析することで個体識別が可能だった(Hayashi 2009)。
○狩猟放鳥が乱す亜種の特徴
キジは日本の国鳥であるが,ヤマドリ等とともに人気のある狩猟対象種として持続的な狩猟が続けられている。キジの狩猟数の推移は1970年代をピークに減少しているが,これまで狩猟鳥の個体数維持の観点から人工繁殖が進められ、全国各地で放鳥が行なわれてきた。放鳥個体の生存率や繁殖成功率は不明であるが,地域を選ばない大量の人工繁殖個体の放鳥が続いたことから,本来の亜種の特徴(形態学的)が消失している地域が増加したことが懸念されている.現在は規定により,現地で生息する亜種が放鳥されている。
◆その他掲載記事
・翼長,尾長,露出嘴峰長,ふしょ長,体重
・羽色
・一般習性,繁殖システム:
・巣,卵,抱卵,育雛期間,巣立ち率
・鳴き声が持つ意味
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