日本の鳥とその生息環境の変化を明らかにしようと2016年にスタートした全国鳥類繁殖分布調査。ついに調査を完了することができました。これだけ大規模な調査を完了することができたのは,調査に参加いただいた2,106人の皆さんのおかげです。ご参加いただき,ありがとうございました。
この調査からは,増減種が明らかになったり,そしてそれに基づき,都道府県版のレッドリストの改訂がすすんだりと,成果がではじめていますが,さらにこの情報を活用するためには,自分たちで解析を進めるのとともに,情報を公開して誰もが使えるようにすることが重要です。そこで出したのがこの論文です。
植田睦之・植村慎吾・葉山政治・荒 哲平・高川晋一・川路則友・梶田 学・仲村 昇・田畑早紀・内山優奈 (2021) 全国鳥類繁殖分布調査で収集された20kmメッシュの鳥類の繁殖分布のデータ.Bird Research 17: R5-R9.
データ公開はよいことですが,希少種の生息地がわかってしまうなどのリスクもあります。そこで,ここでは,そうした心配が少ない広域スケール「20kmメッシュ」でのデータ公開をしました。ただ,詳細な解析がしたい場合は,このスケールのデータでは不十分だと思います。そうした場合は,利用申請をすることで利用が可能になります。詳細は論文をご覧ください。
「データ利用じゃなくて,調査の結果を詳しく知りたいんだよね」という方も多いと思います。そんな方のために,最終報告をつくりました。現地調査をしていただいた方には冊子版をお送りしましたが,誰もが見られるようPDF版も公開しました。全種の分布図,過去との比較に基づく増減種やその特徴などを見ることができます。ご興味のある方はこちらも是非ご覧ください。
論文の閲覧: http://doi.org/10.11211/birdresearch.17.R5
最終報告の閲覧: https://www.bird-atlas.jp/news/bbs2016-21.pdf