バードリサーチニュース

調査研究支援プロジェクト2019 ~寄付&投票のお願い~

バードリサーチニュース2019年12月: 3 【お知らせ】
著者:高木憲太郎

支援する調査研究プランが決定しました!

 2019年9月~10月に支援先となる調査研究プランの募集を行ない、23件の調査研究プランが集まりました。その中から支援先を決定するため、上田恵介立教大学名誉教授、出口智広兵庫県立大学准教授、金井裕日本野鳥の会参与、植田睦之バードリサーチ代表の4名で一次審査を行なったところ、9件が選定されました。この9件にバードリサーチからの1件を加えた10件の調査研究プランをご紹介します。皆さまにご支援いただくことができる調査や研究がひとつでも多くあればと願っています。

個性豊かな調査研究プランたち

 今年は、鳥たちの行動や生態の進化に迫る研究、夏鳥の越冬生態を調べに行こうとする調査、継続的に調査することで鳥たちの生息状況の変化を捉えようとする調査、不幸な死を遂げる鳥たちを減らすための調査、鳥の調査をしやすくするためのアプリ開発、などが選ばれています。下記の概要をお読みいただき、より詳しく知りたいと思う調査研究プランがありましたら、タイトルをクリックしてPDFをご覧ください。
 ホームページには10件分全部をまとめたPDFもあります。

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001 日本にいる日本にいない鳥
   - 飼鳥として国内に存在する非在来種鳥類の調査 -
西田澄子

海外の珍しい鳥が観察されて、話題になることがあります。その理由の一つが「籠抜け」と呼ばれる飼育個体が逃げ出したというもの。実はこの「籠抜け」の全貌はよくわかっていません。西田さんは、籠抜けについてのウェブ情報の収集と販売店の実地調査によって、どんな鳥が多く籠抜けしているのかを調べ、籠抜け防止について考えるきっかけを作りたいと考えています。

002 愛知県矢作川支流、籠川両岸の樹木伐採工事に伴う生息鳥類の変化調査
渥美美保

毎年のように各地で大きな水害が起きています。そのためか、以前にも増して河畔林の伐採が進められているように感じます。渥美さんは、籠川でも樹木の伐採がこの冬に行なわれることを知り、2018年3月から事前調査を続けてきました。工事後も同じ調査を続け、鳥たちにどんな影響があるのか、明らかにしようとしています。

003 日本生まれのノジコ、フィリピンでの暮らし
   - 越冬地における個体数、生息環境 -
出口翔大(福井市自然史博物館)

夏鳥の減少について考えるとき、越冬地のことが頭を過ぎります。しかし、どんな環境に生息しているのか、多くの種でわかっていません。繁殖地が日本のみとされているノジコもそんな鳥のひとつです。出口さんは、主要な越冬地と考えられているルソン島北部に向かい、越冬個体の数や越冬環境を明らかにしようとしています。

004 野鳥が羅網しにくい網の研究
   - 野鳥を護る防鳥網を考える -

内田理恵

内田さんは、ハス田でのカモ類の羅網について扱った2017年度の池野さんと安藤さんの調査研究プランとは、少し違う角度から、この問題の解決に取り組もうとしています。着目したのは防鳥網の構造です。一般的なひし形の網目を、六角形に変えれば、網目に羽などが挟まりにくくなるのではないかと考え、実際に網を作成して、実証試験を行う計画です。

005 泥棒からはやにえを守れ!
   - モズの雄は、はやにえを雌に盗まれないようにはやにえを物かげに隠す? -

西田有佑(大阪市立大・院・理・動物機能生態学研究室)

モズの雄の生存と繁殖にとって大事な保存食「はやにえ」。なわばりを防衛していれば、他の雄に奪われることはありませんが・・・。ペアにならずに、はやにえだけ頂戴して去っていってしまう泥棒雌への対抗手段は?西田さんは、モズの雄が草むらや常緑樹の中などにはやにえを貯える行動を観察し、これが泥棒雌対策ではないかと考え、実験的に検証しようとしています。

006 なぜ猛禽類のメスはオスよりも大きいのか?
   - オスの小ささ、メスの大きさ、を生み出す選択圧を探る -

澤田明(北海道大学大学院理学院博士2年)・江指万里(北海道大学理学部4年)

猛禽類では雌が雄よりも大きい体サイズの性的二型があります。雄は小さい方が、雌は大きい方が子孫を残すのに有利だ、ということがスペインのオオタカの研究で示されています。しかし、子や孫の代の生存率や繁殖成績をみないと結論は出せません。そこで、澤田さんと江指さんは南大東島のリュウキュウコノハズクの19年分のデータを使って、この問いに答えを出そうとしています。

007 スズメのつがい外父性
   
- 浮気された雄は、子育てに非協力的になる? -
坂本春菜(北海道大学理学院自然史科学専攻修士1年)

坂本さんは、スズメの繁殖について研究している中で、雄の雛への給餌頻度が個体によって大きくばらついていることを発見しました。鳥の世界ではつがい相手ではない相手と交尾することが知られています。坂本さんは、自分の子ではない雛が多いと、雄は給餌頻度を減らすのではないかと考え、DNAによる分析で親子関係を調べて、雄の育雛貢献度との関係を明らかにします。

008 台風19号による攪乱はツバメの集団ねぐらにとって吉か凶か
   
- 東京の河川域ツバメ集団ねぐら調査2020 -
渡辺仁(NPO東京生物多様性センター)

ツバメは夏になるとヨシ原に大きなねぐらを形成するようになります。多摩川にも2つのねぐらがありましたが、台風19号によってそのヨシ原は流されてしまいました。渡辺さんは、地元の他の団体とも協力し、大きく環境が変化した多摩川で、ツバメたちがどこに集団ねぐらを作るのか調べ、その場所の環境を明らかにしようと計画しています。

009 長時間録音データから鳥の声を楽に見つけ、楽に記録したい
   
- 時刻・鳥名入力支援Webアプリ(トリル)の開発支援のお願い -
大坂英樹

ICレコーダーを使うことで、鳥のさえずりや鳴き声を記録し、どんな種がそこにいるのかや、繁殖時期などについて知ることができます。しかし、音を聞いて出現する鳥を記録する作業は、思った以上に大変です。大阪さんは、録音データのチェックが簡単にできる自作ソフトを、誰でも使いやすいものにするため、Webアプリを開発しようとしています。

010 インターネット・バードソン
   - バードウォッチングするだけで野鳥調査に参加できる仕組み作り -
バードリサーチ

バードウォッチャーが観察し、手帳などに付けている野鳥の記録は、たくさん集まれば全国的な自然環境の変化を知り、絶滅などの危機を未然に防ぐ上で貴重なデータになります。そこで、バードリサーチの野鳥記録Webサイト「フィールドノート」を利用して、バードウォッチングで観察した野鳥の種数を全国の鳥仲間と競争するイベント「インターネット・バードソン」を開催し、楽しみながら野鳥記録を電子化してもらえる仕組みを広めます。

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このプロジェクトは、皆さまの投票とご寄付によって成り立っています

ぜひ、頑張る調査者や研究者たちにお気持ちをお届けください。

 調査研究支援プロジェクトでは、みなさんから寄付を募り、それをもとに鳥の調査や研究に対して支援を行ないます(図)。寄付していただく際は、応援したい支援先を選ぶことができます。鳥類の調査・研究をみんなで支え合いながら、発展させていける仕組みになればと思っています。ご協力、よろしくお願いいたします。

図.	集まった寄付のうち,2割を支援先に均等に分配し,8割を得票数に応じて支援先に分配します.またこれに加えて,企業からいただいた寄付を支援先に均等に分配します.

図. 集まった寄付のうち、2割を支援先に均等に分配し、8割を得票数に応じて支援先に分配します。またこれに加えて、企業からいただいた寄付を支援先に均等に分配します。

寄付&投票の方法は次の2通りです

クレジットカードで寄付を送る場合

 下記のホームページをご覧ください.
http://www.bird-research.jp/1_event/aid/kifu-a.html

 

銀行または郵便局から寄付を送る場合

 Step1.メールする.

次の情報を高木( br@bird-research.jp )宛てにメールでお伝えください.

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・お名前とご住所
・寄付口数
・支援する調査・研究プランと投票数
・あなたのお名前を支援先に伝えて良いかどうか
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 Step2.お金を振り込む.

下記のホームページに掲載されているいずれかの口座に合計額を振り込んでください.
(振り込み手数料はご負担ください.)
http://www.bird-research.jp/1_event/aid/kifu-b.html

 

 

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