今年は涼しい日が続いていますが,7月は暑くなる季節です。人にとっても暑くてしんどいですが,鳥にとっては,恐怖のシーズンでもあります。そう,気温の上昇とともにアオダイショウが活発になるからです。ヘビの多い地域では,場所によっては繁殖しているシジュウカラの大半がアオダイショウの捕食によって繁殖に失敗してしまいます。こうした影響が小鳥だけでなく,意外と大型の鳥にも及んでいるかもしれないことを示したのがこの論文です。
斉藤裕・道越祐一・紺野竹夫・岡田啓治・浅川裕之・吉田正人(2019)アオダイショウによるオオタカのヒナの捕食事例.Bird Research 15: S1-S5.
千葉県流山市市野谷の森のオオタカの巣では,近年は孵化後にヒナが突然消失することが続いていたそうです。そこで,監視カメラを設置し監視したところ,映ったのがこの映像です。
アオダイショウは巣内にいた1羽のヒナを捕食し,去っていったそうです。アオダイショウがオオタカのような大きい鳥を襲うこととともに,夜に捕食に訪れているところが驚きでした。日中なら,オオタカもヘビからヒナを守ることが可能だと思いますので,オオタカが対処しにくい夜に狙って捕食に来ているのでしょうか? 今後は捕食を受けないといいなと思う反面,捕食された場合は,その状況を記録していくことが,その対策を検討する上でも,ヘビの捕食戦略など行動学的な研究の面でも重要だと思いました。