西教生さんから、初心者向けの図鑑を寄贈いただきました。梶ヶ谷博さんらとの共著です。この図鑑は、大きく2部構成になっており、観察ガイドと図鑑からなっています。
観察ガイド部では、野外に出て鳥を見つけて観察する実際の体験をイメージしながら、種の識別だけではないバードウォッチングの楽しみ方が丁寧に解説されています。
初心者目線の観察ガイド
野外では、羽の色や模様まで詳細に観察できる機会は決して多くありません。初心者ではなおさらです。遠くに小さく見えたけど、双眼鏡に入れる前に飛び去ってしまった。双眼鏡で観察できたけど、逆光でシルエットしかわからなかった。こんなことが多いはずです。でも、私たちは、鳥の姿形のすべてを見定めなくても、鳥の種を識別することができます。鳥がいた環境、どういう行動をしていたか、およその大きさはどれくらいか、飛び方はどうだったか、発した声の質は・・・。紹介する図鑑の第1部では、姿形以外にどんなことに目を向けると良いのか、示されています。
初心者の方の目線に立って作られていて、「私には無理だ」と思うことなく、スムーズにバードウォッチングの世界に入っていけると思います。また、教える側にとっても参考になる内容です。書店などで手に取ってみて、「ほほう、確かにそうだなぁ」と思うことが3つあったら、ぜひご購入を。感覚的にわかっていたことでも、書かれたもので読み直してみると、いろいろ発見があると思います。あなたのガイド技術の向上に一役かってくれるに違いありません。
バードウォッチングで実際に遭遇する場面を大事にした図鑑
図鑑の部についても、ご紹介しましょう。掲載種数は・・・あれ?何種か書かれていませんね。ざっと数えて60~70種ぐらいでしょうか。初心者にはあまり種数の多い図鑑よりも、これぐらいがちょうど良いと思います。イラストの図鑑のように写真に線を引いて、識別のポイントが説明されています。1種に対して5~10枚ほどの写真が使われていて、後ろ姿や飛翔中の写真、どんな場所にいるのかわかる周囲の環境を含めた引き気味の写真など、観察時に目にするような写真が使われています。また、シジュウカラやヒヨドリなど身近な鳥については、雛や若鳥の写真が多数使われています。巣立ちの頃になると、雛に遭遇することが増えますし、保護されることもあります。小鳥なども扱っている動物病院に置いてもらえると、待ち時間にバードウオッチングに興味を持ってもらったり、雛が保護された時に役立ちそうです。高校や大学の野鳥観察サークルにも1冊あると良いと思います。