バードリサーチニュース

研究誌新着論文:四国西部におけるサンジャクの野生化

バードリサーチニュース2018年2月: 3 【研究誌】
著者:植田睦之

 外来鳥というと何を思い浮かべますか? コジュケイ,ガビチョウ,ソウシチョウ,コブハクチョウあたりでしょうか? 関東の人はホンセイインコ,関西の人はハッカチョウなども思い浮かびますよね。そんな外来鳥に新たな1種が加わるかもしれません。それもとびっきりインパクトのあるのが・・・。


佐藤重穂・濱田哲暁・谷岡 仁(2018)四国西部におけるサンジャクの野生化.Bird Research 14: S1-S5.

 

四国西部に定着しているサンジャク(谷岡仁).

 サンジャクは中国中部からインドシナ半島およびヒマラヤ西部にかけて分布するカラス科の鳥です。本論文は,おそらく愛媛の観光施設から逃げ出したのが起源と思われるサンジャクの定着状況についてまとめたものです。佐藤さんたち自身のフィールドワークや四国の鳥類に詳しい人達へのヒアリング,そして文献調査の結果,サンジャクは2000年代から目撃記録があることがわかりました。そして近年は巣立ちビナや幼鳥が観察されるまでになっていて,高知西部を中心に定着していることがわかりました。
 サンジャクはご覧のように,花鳥画にでも出てきそうな,美しい鳥です。ちょっと見てみたいな,と,不謹慎なことを考えてしまいますが,全長68cmもある雑食性のカラス科の鳥だけに,捕食者として在来鳥類や小型の生物に影響を与える可能性があります。外来種対策は最初が肝心。現在の分布の中心は低地の林ということで,対策は簡単ではないと思いますが,早めの情報収集と対策が必要です。この論文はその助けになるものと思います。

論文の閲覧 http://doi.org/10.11211/birdresearch.14.S1