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研究誌新着論文:チュウヒ類のねぐら環境と利用場所の季節変化

バードリサーチニュース2016年8月: 4 【研究誌】
著者:植田睦之
ねぐら上空を飛ぶチュウヒ(撮影:三木敏史)

ねぐら上空を飛ぶチュウヒ(撮影:三木敏史)

「暑い!」今日は夜になっても温度が下がってきません。そんな寝苦しい夜,みなさんどうしてますか? ぼくは「氷枕」「寝ゴザ」そして「ノーパン」。これで涼しさを求めます。
 寒い夜には羽毛布団を使ったり「猫」を連れ込んだり‥。気温に応じて,人は あの手この手で快適な寝床を作り出そうとします。鳥にも「寝床」をつくる種がいます。それはチュウヒ。ヨシ原の草を踏み固めて地上に寝床をつくります。彼らも気温に応じた快適な寝床を求めるのでしょうか? 快適さのためかどうかはわかりませんが,季節によってねぐらの環境を変えていることが,多田さんの研究でわかってきました。

多田英行:チュウヒ類のねぐら環境と利用場所の季節変化. Bird Research 12: A31-A40

 これまで,チュウヒは下層にスゲが生えているヨシ原をねぐら場所として選んでいると言われていました。そしてそれは,そうした場所が,スゲのない場所よりも温かいからだと考えられています(平野 1998)。多田さんが岡山で一年を通したチュウヒのねぐら利用を調べたところ,冬はこれまで言われていたような下層にスゲなどのある環境にねぐらをとることが多かったものの,ヨシだけの環境にもねぐらをとっていることがわかりました。さらに夏になると,スゲなどのある環境はあまり利用されなくなり,ヨシが倒れた場所にも多くねぐらをとることがわかりました。
 冬以外は暖かい場所に寝る必要がなく,また,捕食者の状況なども影響して,季節によってねぐらをとる環境が変わるのではないかと多田さんは考えています。

論文の閲覧 http://doi.org/10.11211/birdresearch.12.A31