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鳥の生息分布の予測精度を上げるには・・・ ~ 土壌要素を加えることで精度があがるタゲリの生息適地モデル ~

野鳥の不思議解明最前線 No. 121 【野鳥の不思議】
著者:植田睦之
日本ではおもに越冬するタゲリ。彼らの越冬地の土質は? 撮影:三木敏久

日本ではおもに越冬するタゲリ。彼らの越冬地の土質は? 撮影:三木敏久

 予測って難しいですよね。堅調な日本の企業の決算発表やアメリカの利上げの先送り観測から「まだまだ株は上がるね」って予測していたのが,予測に入れていなかった「チャイナショック」という要素が入ってきたことで,途端に予測は破綻してして・・・。残念。未知の要素が予測を難しくします。

 鳥の研究や保全の場でも予測は重要です。よく使われるのが土地利用状況から生息適地を予測する生息地モデル。これがあることで,その種にとって重要な場所がわかり,保護のための優先順位を検討することができます。ぼくも以前,サシバの生息地モデルをつくったことがありました(百瀬ほか 2004)。ぼくの調査地のサシバの生息密度は水田と接する林縁の長さなどできれいに予測できました。そしてこのモデルは他地域に持って行ってもサシバの多い場所の予測は可能でした。でも,相対的な予測はできても,何羽くらいいるかという数の予測となると,上手くいきません。地域による密度の違いを決めている,重要な「未知の要素」をモデルに入れることができていないため,上手く予測ができないのでしょうね。
 こうした要素を明らかにし,さらにモデルに入れるために必要な広域なデータを得ることは難しいのですが,スコットランドのタゲリでは,土地利用以外に,土壌の質を加えることで,予測が良くなったそうです

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紹介した論文
McCallum HM, Park KJ, O’brien MG, Gimona A, Poggio L, Wilson JD (2015) Soil pH and organic matter content add explanatory power to Northern Lapwing Vanellus vanellus distribution models and suggest soil amendment as a conservation measure on upland farmland. Ibis 157: 677–687. doi: 10.1111/ibi.12286.