バードリサーチニュース

オジロワシやオオワシの音への反応 ~バードストライクを防ぐために~

バードリサーチニュース2016年7月: 1 【活動報告】
著者:植田睦之(バードリサーチ)・福田佳弘(知床海鳥研究会)・高田令子(ニムオロ自然研究会)

 「気をつけよう 車は急に 止まれない」この標語,最近あまり聞かなくなりました。でも車が急に止まれるようになったわけではありません。自動ブレーキなど支援システムで安全性は増してはいますが,それでも高速で動く車を急に止めるのは今でも難しいのです。これは車に限ったことではありません。風車もそう。「風車は急に止まれない」のです。

 今,バードストライク防止のために,ワシの風車への接近をレーダや映像で感知しようという試みが進められています。ワシの接近を感知して,風車を止めることができれば,バードストライクは防止できます。しかし「風車が急に止まれない」ことがその実現のネックの1つになっています。ワシは風車に近づいてから風車を避けて飛んでいきます。「急に止まれない」が故にワシがまだ遠い時点で風車を止めなければならないとすると,バードストライクの危険がないワシに対しても風車を止める必要がでてきます。そうすると,頻繁に風車を止めることになってしまい,このシステムを事業者が導入しにくくなるからです。
 そこで,代替策として昨年から調べているのが「音」。2016年5月号のニュースでも書いたように,ワシは風車を危険なものと認識し,風車を避けて飛んでいます。もしワシが迂闊にも風車に近づいてしまったとき,音でワシに風車の存在を知らせてあげられるならば,風車を止めなくても,ワシが自分で風車を避けてくれて,バードストライクの防止ができるのでは,というアイディアです。

 この調査は環境省の「海ワシ類における風力発電施設に係るバードストライク防止策検討委託業務」のなかで2015年から実施しています。2015年の調査では,音を鳴らすと,ワシがその場所を注視することがわかりました(バードリサーチニュース 2015年4月号)。今回は,音の種類と音源とワシとの距離に注目して調査をしたところ,現時点では陸上競技用のピストルの音によく反応すること(図1),距離が遠くなると反応が悪くなることがわかってきました。

図1.ピストル音に反応して振り向いたオジロワシの若鳥
 別映像:ピストル音に反応したオジロワシの成鳥

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