研究誌に2つの論文が掲載されました
大澤剛士・和田 岳:市民参加による広域を対象とした生物調査の可能性:近畿2府4県における駅のツバメ営巣調査結果およびデータ公開. Bird Research 12: R1-R8
2012年に関西で,2013年に関東で駅のツバメ調査が行なわれたのを覚えている方も多いのではないでしょうか? その関西の結果をまとめ,データ公開をしたのがこの論文です。
バードリサーチでも様々な市民参加型の調査を行なっていますが,その中でもいちばん多くのデータがよせられるのがツバメの初認調査です。毎日通勤に使う駅や買い物に立ち寄る商店街で見られる身近さと「ツバメが今年も来た!」という喜びが,データを送信する気にさせるのではないかと思います。
大澤さんたちのこの研究も「ツバメ」のこの特性に注目して始めたものです。さらに「駅」に注目することで,市民参加型調査の問題点である調査地点の偏りの問題をある程度解決できるとも考えています。駅は一定間隔で設置されていて,さらにそこに調査をしに行くことも簡単で,全駅のデータをとることも可能だからです(でも大変だけど)。
このデータからは都市近郊に点在する農地および河川がツバメの営巣に重要な役割を果たしていることも見えてきています(Osawa 2015)。データはオープンデータとして以下よりダウンロードでき,誰でも解析したりすることもできますので,興味のある方は見てみてください。
論文の閲覧 http://doi.org/10.11211/birdresearch.12.R1
データのダウンロード http://www.bird-research.jp/appendix/br12/12r01.zip
福田篤徳・池長裕史・伊丹英生・片山秀策・小山慎司・深川正夫・前田敦子・前田崇雄:石川県舳倉島におけるカンムリカッコウのさえずりの記録. Bird Research 12: S7-S11
2012年5月20日に石川県輪島市舳倉島で記録されたカンムリカッコウのさえずりによる記録です。
車がバックしてきそうな,ちょっと変わった声です。