シマアオジはユーラシア大陸の広範囲で繁殖している渡り鳥で、かつては北海道の草原で広く繁殖していましたが、現在はほとんど生息が確認できない状況になっている鳥です。越冬地は中国南部から東南アジアで、越冬地や中継地などでかすみ網を用いた捕獲により多数捕獲されていたことが減少の原因として指摘されています。
中国では2021年2月にシマアオジが保護種の第一類に指定され狩猟が禁止されましたが、日本ではその後も回復傾向がみられていません。世界的にも減少していますが、越冬地では複数のねぐらが確認されており、シマアオジの詳細な現状把握と、関係するアジア各国が連携して保全に取り組んでいくことが必要です。
バードリサーチでは、2022~24年度に地球環境基金の助成を受けて、アジア各国の自然保護団体とワークショップを行い、彼らと協力してタイ、ミャンマー、カンボジアの越冬ねぐらの調査を実施しました(バードリサーチニュースニュース 2025年6月号: 2)。
今年度もこのプロジェクトを継続していくため、助成金の獲得に動いていましたが、活動に必要な十分な助成を得ることができていません。ここで歩みを止めないためにどうしたらよいか考え、クラウドファンディングによる支援を呼びかけることにしました。本日から募集を開始しましたので、お知らせいたします。
READYFOR クラウドファンディングサイト
https://readyfor.jp/
目標金額:450万円
募集期間:2025年9月25日から11月20日まで
共同事業実施団体:公益財団法人日本野鳥の会
写真のご協力ありがとうございました。
クラウドファンディングを開始するにあたり、この経緯を会員の皆さまにメールでお伝えしたところ、たくさんの写真のご提供をいただきました。27名の方からお寄せいただいた写真は147点にも及びます。こんなにもたくさんお寄せいただけるとは思っていませんでした。ありがとうございます。
全員の方の写真を採用することができなかったのですが、ご協力いただいた方のお名前を文末に添えて、謝辞に代えさせていただければと思います。
情報発信にご協力をお願いします
活動費の確保は大事ですが、今回、バードリサーチの会員になってくださっている皆さんに直接ご寄付のお願いをするのではなく、クラウドファンディングサイトを選択したのには理由があります。バードウォッチャーの皆さんにとっては既知のことでも、シマアオジや草原性の小鳥の置かれている現状は、一般の方たちにはまだまだ知られていないので、伝えていくことが大事だと思ったからです。
会員の皆さまにはぜひ、危機感を共有する仲間として、情報の発信にご協力いただけれるとうれしいです。
リターンのご紹介
お金を集めることを目的としていますが、せっかくご寄付いただけるなら、良いものをお返ししたいと思い、リターンを準備しましたので、ご紹介します。
- 左から1番目:
ご提供いただいた写真の中から髙野丈さん撮影のシマアオジの写真をアクリルスタンドにします。 - 左から2番目:
タイで調査をされている研究者たちが作成したIUCNのレッドリストロゴ入りTシャツ 黒
S,M,L 3サイズで数量限定です。サイズごとにリターンがわかれています。 - 左から3番目:
「いきものパレット」のデザインをプリントしたモンベル製の高機能Tシャツ グレー
リターンを選択後、SからXLまでサイズを選ぶことができます。 - 右端:
タイで実施するねぐら調査(2,3月予定)への参加権つき応援コース
ツアーガイドは付きません。飛行機やホテルの手配は別途参加者にてしていただきます。
調査への参加を確約するものではありません。その他注意事項をご確認ください。
世界的にみても危機的な状況のシマアオジ
シマアオジはもともとユーラシア大陸北部に広く分布し、ヨーロッパからサハリンまでの広大な草原で繁殖していた鳥です。しかし、その80%が失われたとも言われており、世界的にも危機的状況にあります。
環境省のレッドリストでも最も高いランクの絶滅危惧I A類に指定されている絶滅危惧種ですが、世界的にもIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで最も高いランクのCritically Endangered (CR)に指定されています。
全国鳥類繁殖分布調査でも、1回目の1974-1978年の調査の際は52メッシュで記録されていましたが、1997-2002年には15メッシュに減少し、3回目にあたる2016-2021年の調査の際に生息を確認できたのは1メッシュだけになっていました。
このプロジェクトは、北海道で最後に残されていたシマアオジの繁殖地とされるサロベツ原野での調査を行っている公益財団法人日本野鳥の会との共同事業として実施いたします。
謝 辞
クラウドファンディングの開始にあたり、シマアオジや、彼らがいるorいた環境の写真をご提供いただいた皆さま(敬称略 名前順)
新井清雄、有賀憲介、大橋正明、押上真一、後藤聡、小林雅裕、佐藤ひろみ、柴田絵里、鈴木利幸、染谷カーシャ、髙石良子、髙野丈、高山裕子、田中公彦、田辺英樹、玉田克巳、長嶋宏之、奴賀俊光、濱伸二郎、藤井薫、猿子正彦、満田實、三間久豊、宮城国太郎、渡辺修自、渡辺義昭
ありがとうございました。この他にも、観察記録の情報やご自身の調査成果などをお寄せいただいたり、応援のメッセージをいただくなど、たくさんのご連絡をいただきました。