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生態図鑑 ホシガラス

バードリサーチニュース 2025年8月: 1 【生態図鑑】
著者:西教生(都留文科大学非常勤講師)

○英名 Spotted Nutcracker     
○学名 Nucifraga caryocatactes
○分類 スズメ目 カラス科

ホシガラス

ホシガラス Photo by 西教生

○羽色
 雌雄とも体羽は濃い焦げ茶色で,頭頂から上頸を除き白色の斑点がある.下尾筒は白色で,風切羽や尾羽は黒褐色.尾羽の先端には白色の帯がある.

○生息環境
 亜高山帯から高山帯に生息するが,秋から春にかけてはより標高の低い山地帯で見られることもある.基本的には樹林帯に生息しているが,高山帯では裸地部でもよく見られる.

○巣
 樹林内の常緑針葉樹の樹上に巣を作る.巣材は針葉樹や広葉樹の枝が使われ,産座にはダケカンバやサワラの樹皮,地衣類(サルオガセ類)や蘚苔類などが使われる.巣の直径は約40cm×約30cmで,深さは6-14cm.

○食性と採食行動
 ハイマツ,ゴヨウマツ,チョウセンゴヨウなどのマツ属の種子をよく食べる.オオシラビソやコメツガなどの種子のほか,ブナ,ミズナラ,ツノハシバミなどの堅果,昆虫やクモ類も食べる.ホオノキの種子を食べていた例もある.
 マツ属の種子を食べるときは,枝についている状態の球果の隙間から種子を取り出すときと,枝から球果を切り離し,地上や樹上で球果から種子を取り出すときがある.前者は球果に離層ができないゴヨウマツで,後者は離層のできるハイマツでよく見られる.

◆その他掲載記事
 ・全長,自然翼長,翼開長,尾長,露出嘴峰長,ふしょ長,体重
 ・鳴き声
 ・分布
 ・繁殖システム
 ・卵
 ・抱卵と育雛期間
 ・早い繁殖時期
 ・貯食行動

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