バードリサーチニュース

研究誌新着論文:森林性鳥類のさえずり頻度のデータ

バードリサーチニュース2020年1月: 1 【研究誌】
著者:植田睦之

 2019年最後の論文を掲載しました。

植田睦之 (2019) 森林に設置したIC レコーダで録音聞き取りした森林性鳥類のさえずり頻度のデータ.Bird Research 15: R1-R4.

 気候変動の鳥類の繁殖時期への影響をモニタリングする目的で,6地点の森林に設置したICレコーダでタイマー録音を行ない,その聞き取りをしたデータを公開した論文です。森林の鳥類のさえずりの長期にわたるデータは年による生物季節の変化(図1)など,さまざまな研究を行なう上で有用な情報となるために,公開しました。

図1 北海道の 3 調査地におけるセンダイムシクイのさえずり状況の年による違い。今年のさえずり()は,苫小牧では例年より早かったが,雨龍や足寄では遅いなど,地域により違いがあることなどを読み取ることができる。

論文の閲覧 http://doi.org/10.11211/birdresearch.15.R1

論文の投稿お待ちしています

 この論文を含め,2020年の掲載論文は,6本でした。目視することが難しく,生息状況がよくわかっていない茨城県内のシマクイナの分布を調べた論文,夜行性のため追跡が困難なマガモとカルガモをGPSで追跡した論文,オオタカの巣を襲うアオダイショウ,サンコウチョウの不思議な羽広げ行動の記録,シカの影響で下層植生が減り,そこに生息する鳥の減少を通じて托卵鳥へも及んでいること示した論文など,興味深い論文を掲載することができました。ただ,例年10本前後を掲載してきましたので,かなり少ない本数しか掲載できませんでした。来年は,たくさん論文を掲載したいと思います。原著論文はもちろんのこと,観察記録やこの論文のようなデータ公開論文も投稿できます。書きなれていない方には,執筆前の段階から相談にのることもできますので,面白い情報をお持ちの方は,ぜひ投稿をご検討ください。

投稿規定:http://www.bird-research.jp/1_kenkyu/index_toko.html