バードリサーチニュース

今年は10件!支援先が決定しました。 調査研究支援プロジェクト2017 ~寄付&投票のお願い~

バードリサーチニュース2017年12月: 4 【お知らせ】
著者:高木憲太郎

支援する調査研究プランが決定しました!

 2017年9月1日~10月31日の期間に支援先となる調査・研究プランの募集を行なったところ、16件の調査研究プランの応募がありました。これらについて、上田恵介立教大学名誉教授、尾崎清明山階鳥類研究所副所長、金井裕日本野鳥の会参与、植田睦之バードリサーチ代表の4名で一次審査を行なったところ、9件が選定されました。この9件にバードリサーチからの1件を加えた10件の調査研究プランをご紹介します。皆さまにご支援いただくことができる調査や研究がひとつでも多くあればと願っています。

個性豊かな調査研究プランたち

 今年は、鳥たちの行動や選択の背景に迫る研究、個体数や分布の減少が心配される鳥の生息状況を調べて保全につなげようとする調査、さらには、不幸な死を遂げる鳥たちを減らすための調査が選ばれています。下記の概要をお読みいただき、より詳しく知りたいと思う調査研究プランがありましたら、タイトルをクリックしてもPDFをご覧ください。
 ホームページには10件分全部をまとめたPDFもあります。

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001 防鳥ネット羅網死根絶に向けたハス田におけるカモ類の採食方法とその頻度の解明
  池野進(日本野鳥の会茨城県)・安藤温子(国立環境研究所)

 池野さんと安藤さんは、本当にカモ類が商品価値のあるレンコンを食害しているのかどうかを調べようとしています。もし、収穫後のハス田でカモ類が採食しているならば、事故が起きる防鳥ネットをたくさん設置する必要はなくなります。羅網死根絶に向けて取り組む活動を科学的な調査からバックアップするための調査研究プランです。

002 神奈川県における野鳥のガラス窓への衝突事故を調査する
 ~野鳥の衝突事故を調査して、その防止策を考える。

   遠藤順一・安井啓子・渡辺優子(NPO法人野生動物救護の会)

 野生動物救護の会の遠藤さんたちは、窓ガラスに鳥が衝突する事故について調べています。この調査研究プランでは、センサーカメラなどを使って事故原因の究明や事故防止策の検討をするほか、これまでに蓄積した救護データを分析し、事故の傾向を細かく分析する計画です。

003 小笠原諸島~伊豆諸島 ツバメの渡り調査
   重原美智子(小笠原諸島~伊豆諸島ツバメの渡りネットワーク)

 重原さんは、小笠原諸島や伊豆諸島で観察されるツバメがどこから渡ってきているのか、明らかにしようとしています。島で鳥を観察している人たちとネットワークを作って、ツバメの初認情報を集めて分析することで、太平洋を縦断して渡ってきているのか、それとも、本州に渡来したツバメが南下してきているのか、突きとめる調査研究プランです。

004 南大東島に暮らす亜種ダイトウコノハズクの将来設計
 産卵開始を急ぐことは有利な戦略か

   澤田明(大阪市立大学大学院理学研究科)

  澤田さんは、南大東島の亜種ダイトウコノハズクが、少し離れた他の南西諸島の島々にいる亜種リュウキュウコノハズクより、1か月以上も早く繁殖を開始することに着目しました。狭い島で高密度に生息していることが繁殖時期を早めるように促しているのではないかと考え、「統合個体群モデル」という統計手法を用いて、この鳥の進化の仕組みを解き明かそうとしています。

005 東京都心におけるウミネコ屋上繁殖個体群の移動追跡
  都心ウミネコ研究グループ

 札幌でオオセグロカモメがビルの屋上で繁殖しているということが確認されたのが15年前のことですが、東京の都心でもウミネコの繁殖が確認されました。都心ウミネコ研究グループでは、ウミネコがどのように都市環境に適応しているのか、その生態を探る一歩として、分布状況の調査やカラーマーキング等による移動追跡の調査などを計画しています。

006 ハシブトガラスの巣、上から見るか横から見るか
   松原始(東京大学総合研究博物館)・森下英美子(文京学院大学環境教育研究センター)

 巣を薮の中などに造り、捕食を回避しようとする小鳥は多くいます。市街地では怖いものなしに見えるハシブトガラスも、葉の生い茂った常緑広葉樹の樹冠部などに営巣することが多く、山林ではなかなか見つけることができません。松原さんと森下さんは、ドローンを用いて彼らの巣の隠蔽度を様々な角度から調べ、何から巣を隠そうとしているのかつきとめようとしています。

007 チゴハヤブサの営巣数減少の要因はなにか?
   立石淑恵(弘前大学農学生命科学部)

 立石さんは、津軽地域のチゴハヤブサの繁殖状況を調べ、この15年ほどの間に激減していることを示しました。この調査研究プランでは、その原因を究明するため、再度分布状況を調査し、ビデオカメラなども活用して巣内雛の死亡原因を調べると共に、2001-2004年に繁殖が確認されていた場所の環境変化を調べる計画です。

008 コアジサシコロニーのモビング ~さぼっているのは誰だ!~
   西條未来(総合研究大学院大学)

 コアジサシは、浜辺や河原にコロニーを作り、捕食者に対しては群れでモビングします。西條さんは、この行動における彼らの戦略を明らかにしようとしています。目視観察とカメラを使って、どの捕食者に対してモビングするのか、ヒナの数や繁殖ステージなどによってモビングに参加するかどうかの判断を変えているのかを調べます。

009 長野県におけるアカモズの生息状況調査
  松宮裕秋(信州⼤学)・原星⼀

 絶滅が危惧されているアカモズ。長野県でも各地で姿を消しています。しかし、近年、そのアカモズがリンゴ園で繁殖していることが明らかになりました。松宮さんと原さんは、この調査研究プランで長野県全域の可能性のある果樹園を網羅的に調査してアカモズの生息個体数を明らかにすると共に、彼らが好む果樹の栽培方法を明らかにして、保全につなげようと考えています。

010 記憶より記録、さえずりナビを使った野鳥観察のデータベース化と分析
   バードリサーチ

 フィールドでの記録をデータとして管理するためにバードリサーチでは野鳥記録データベースの提供を行なっています。この機能をスマートフォンアプリ「さえずりナビ」と統合し、2017年12月に新システムを公開しました。この調査研究プランでは、システムのバージョンアップをする他、集積されるビッグデータを繁殖分布調査など各種の研究に活用する計画です。

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このプロジェクトは、皆さまの投票とご寄付によって成り立っています

ぜひ、頑張る調査者や研究者たちにお気持ちをお届けください。

 調査研究支援プロジェクトでは,みなさんから寄付を募り,それをもとに鳥の調査や研究に対して支援を行ないます(図).寄付していただく際は,応援したい支援先を選ぶことができます.支援していただいた方には,調査研究の成果報告が届きます.鳥類の調査・研究をみんなで支え合いながら,発展させていける仕組みになればと思っています.ご協力,よろしくお願いいたします.

図.	集まった寄付のうち,2割を支援先に均等に分配し,8割を得票数に応じて支援先に分配します.またこれに加えて,企業からいただいた寄付を支援先に均等に分配します.

図. 集まった寄付のうち,2割を支援先に均等に分配し,8割を得票数に応じて支援先に分配します.またこれに加えて,企業からいただいた寄付を支援先に均等に分配します.

寄付&投票の方法は次の2通りです

クレジットカードで寄付を送る場合

 下記のホームページをご覧ください.
http://www.bird-research.jp/1_event/aid/kifu-a.html

 

銀行または郵便局から寄付を送る場合

 Step1.メールする.

次の情報を高木( takagi@bird-research.jp )宛てにメールでお伝えください.

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・お名前とご住所
・寄付口数
・支援する調査・研究プランと投票数
・あなたのお名前を支援先に伝えて良いかどうか
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 Step2.お金を振り込む.

下記のホームページに掲載されているいずれかの口座に合計額を振り込んでください.
(振り込み手数料はご負担ください.)
http://www.bird-research.jp/1_event/aid/kifu-b.html#anchor-b