年が明けてしまいましたが、11月にバードリサーチ大会を行いました。今回は岡山県倉敷市で、地元の倉敷市立自然史博物館と共催し会員以外の方にも公開で開催しました。会場として美観地区に隣接する市立美術館講堂をお借りし、約200席の大講堂に人が来てくれるのかスタッフは恐れおののいておりましたが、博物館、野鳥の会岡山県支部のご協力により100名近い方にご参加いただきました。ありがとうございました。
口頭発表では、ブッポウソウ、チュウヒ、ベトナムの活動など
岡山といえばブッポウソウが話題になることも多く、丸山健司さんに「岡山県におけるブッポウソウ保護活動について」、「ジオロケータを用いたブッポウソウの越冬地解明」を黒田聖子さん、「岡山県吉備中央町でのブッポウソウ個体群の成長動向にかかる属性の測定結果」について合田延寿さんと続けて登壇して話をしていただきました。ブッポウソウがボルネオに渡ること、またその高い帰巣性などの興味深い生態に驚きました。なにより地元の保護活動が、研究の基盤となっている環境が素晴らしいと感じました。保護と研究が両輪となって地域のブッポウソウの保全が一層進めばと思います。
多田英行さんからは、「チュウヒの四季 ~生態の理解と保全への応用~」というタイトルで、国内最大規模のメガソーラー事業がおこなわれている錦海塩田跡地のチュウヒの研究を話していただきました。四季を通じたチュウヒの生態を紹介しながら、多田さんは、メガソーラーの開発に対して、一般的に知られている生態だけでなく、季節変化や地域による詳細な生態を把握し、きめ細かく配慮していくことを指摘していました。チュウヒとメガソーラーが共存していく道はあるのか注目したいと思います。
越山洋三さんからは、ベトナム戦争によって失われた広大なマングローブの復活を目指して活動する植林NGO「南遊の会」の活動報告でした。自転車でアジアを旅したバックグラウンドの話から、壊滅したマングローブ林の復活、動植物の調査を通した地元の自然保護、日越の学生交流など、あまりバードリサーチの研究集会にでてこない話題で非常に興味深く聞きました。現地では、多くの野鳥が観察できるようになっているとのことです。ただ、マングローブ林は本来多種多様な植物の集まりで、復興を急ぐあまり種が偏っていることが課題とのことでした。イラストも書いている越山さんは、現在ベトナムの野鳥のフィールドガイドも作成中だそうです。なお、この活動は2013年度のバードリサーチ調査研究支援プロジェクトで支援させていただきました。
ポスター発表も8題参加していただき、会場は意見交換で盛況でした。
次の日の探鳥会は生憎の雨模様で、ドローンのデモ飛行は中止となりました。せっかく飛行場所の許可もとったのに非常に残念でした。岡田大池でカモ類を観察し、あずま屋で少しだけドローンを浮かせ、少し雑談し解散となりました。岡山の自然環境や環境教育事情などを聞くことができ、どの地域でも自然に興味を持つ子を育成するのは大変だなと倉敷出身の私としては興味深くお聞きしました。
アンケート
参加者32名からアンケートを回答していただきました。平均バードウォッチング歴16.2年!、そして約半数の方がバードリサーチの企画に参加されたことがあるとのご回答。そして、ご参加の約90%以上の方が、大会の内容はちょうどよく満足だったとお答え頂きました。コメントでは、「面白かった。知らないことを沢山教えていただいた。」、「初めて参加してみました。いろいろな研究、調査内容があり、改めて勉強になりました。」と好意的にコメントをいただきました。また「興味の幅が広がりました。また自分にできることを考えながら、観察しようと思います。」とも、これからも多くの方に参加していただけるような企画を考えていきたいと思います。