○英名 Eurasian Wren 学名 Troglogytes troglogytes
○分類 スズメ目 ミソサザイ科
○鳴き声
雄はトリル(震わせた声)を効かせたとても複雑で長く,声量のある声でさえずる.
○分布
旧北区のユーラシア大陸に広く分布する.日本国内では,北は千島列島南部から北海道を経て,南は屋久島までの広い範囲で繁殖する.
○巣
枯れ枝と苔を編んだ精巧な巣を自分の縄張り内の突き出た岩棚の下や浮き上がった樹木の根の裏側に造る.
○食性と採食行動
暗い樹林の林床で採食し,樹木の根元や岩に生えたコケの上を跳ねていきながら,餌を探す.
○騒音とさえずりとの関係
沢の個体は,山の個体と比べて大きな声でさえずり,最低周波数が高く,音要素の周波数変調が少ないことが分かった.沢の近くでは沢音がさえずりの邪魔をするので,それに負けないよう,大きな声でさえずり,沢音の周波数帯と被らないよう,最低周波数が高くなっていると考えられる.一方,山の個体のさえずりは,沢音が邪魔しないので,それほど大きな声でさえずる必要がなく,音要素の周波数変調が多いさえずりを持つことができると考えられたが,エゾハルゼミの声が騒がしい青木ヶ原では,山の個体であっても,音圧が高い傾向にあった.これは,エゾハルゼミの声が沢音と同じように,ミソサザイにとっての“騒音”として作用したため,大きな声でさえずっていると考えられた.
○ミソサザイとヤマネ
ミソサザイの古巣を他のヤマネが子育ての場所として利用していた.
◆その他掲載記事
・形態(全長,翼長,尾長,嘴峰長,ふしょ長,体重)
・羽色
・繁殖地の環境
・繁殖システム
・卵
・抱卵・育雛期間
・冬季の分布域
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