事務所のそばの多摩川でも,さえずっているのはガビチョウとセッカだけ。たくさん聞こえるのはセミの声ばかり。標高の高いところや北の地域を除けば,今年の繁殖期はほぼ終ったようです。
みなさんの今年の繁殖期の観察はいかがでしたか? その観察情報をお教えいただけないでしょうか? 今年からはじまった「全国鳥類繁殖分布調査」で使わせてほしいのです。
全国鳥類繁殖分布調査は2020年までのあいだに,日本全国の鳥の分布を明らかにしようという官民学の合同プロジェクトで,バードリサーチが中心になって行なっています。http://www.bird-atlas.jp/
この調査により,日本の鳥の「今」がわかり,過去の記録と比較するとこでレッドリストの改定などに役に立てることができます。みなさんの普段の観察記録が,この活動に役に立っていきますので,ぜひ「アンケート調査」に情報をお寄せください。
アンケート調査の目的
全国鳥類繁殖分布調査では,20㎞四方のメッシュを単位に,各メッシュで繁殖している鳥を記録し,分布図を作成します。各メッシュには2コースの現地調査コース(図1)がありますが「現地調査」だけでは,生息している鳥のすべてを把握しきれません。そこで,それを補うのが「アンケート調査」です。アンケート調査では,普段のバードウォッチングや買い物や通勤時に見た鳥の情報を集め,分布図に反映します。
特に情報が欲しいのは,猛禽類や夜行性の鳥,コロニーで繁殖する鳥などセンサスでは記録することが難しい鳥です。そして,その真逆ですが,スズメなどの身近な鳥の情報もぜひ送って欲しいのです。現地調査のコースが森や湿地など「良い環境」に設定されていることが多いので,身近な鳥の記録が漏れがちだからです。
アンケート調査の報告のしかた
○ エクセルによる報告
情報の送信方法には3つの方法があります。1つはエクセルのフォームを使った方法です。エクセルのフォームはここからダウンロードできます。ダウンロードしたファイルに,情報を記入してください。エクセルに慣れている人ならば簡単に入力できますが,観察した場所の位置(緯度経度かメッシュ)を調べるのがちょっと面倒です。
○ Webフォームによる報告
その手間を省いたのが,WEBのフォームからの入力です。Google mapを使って,位置を指定し,情報を送ることができます。
http://www.bird-research.jp/1/bunpu/bbaq.html
ただし,このフォームから送ることができるのはピンポイントの情報とその周囲の情報(1㎞メッシュの3次メッシュでの情報)。希少種などの情報を2次メッシュ(10㎞メッシュ)で送りたいと思っても,それには対応できていません。
分布図も見られる「いきものログ」による報告
そして最後に紹介するのが「いきものログ」による報告。「ユーザ登録しなければならない」という面倒さはありますが,登録さえしてしまえば,現状の各種鳥類の分布図を見られるなど(図2),データ送信以外のメリットもあります。また,分布図を見ながら,記録のないメッシュの情報を入力したりすることもできます。2次メッシュ(10kmメッシュ)にも対応しています。
「いきものログ」で送ったデータは,各自のデータベースにも登録されます。つまり情報を送るだけでなく,自分の観察記録を保存して,後で閲覧したり,ダウンロードすることもできるのです。
○ 登録の方法
まだ繁殖分布調査に調査員登録していない方は,まず,繁殖分布調査に調査者登録ください。その際に,要望欄に「いきものログに登録希望」と書いていただくか,事務局(bbs@bird-research.jp)までご連絡ください。これでいきものログへの登録が完了します。
詳細は登録/操作マニュアルをご覧ください。みなさんのご参加,お待ちしています。
全国鳥類繁殖分布調査 http://www.bird-atlas.jp/
主催団体:バードリサーチ,日本野鳥の会,日本自然保護協会,日本鳥類標識協会,(公財)山階鳥類研究所,環境省 生物多様性センター