日本野鳥の会,日本自然保護協会,日本鳥類標識協会,山階鳥類研究所,環境省生物多様性センターとの共同事業として来年から調査が開始される「全国鳥類繁殖分布調査」.この調査を行うことで,どんなことがわかってくるのでしょうか?今回は,1970年代と1990年代に行なわれた過去2回の調査結果の比較からみえてきた,暖かい地域に分布を拡げている鳥と,寒い地域に分布を拡げている鳥についてご紹介します.
暖かい地域で分布を拡げた鳥
暖かい地域で分布を拡げた鳥には大きく分けると2つのパターンがみられました.一つは北方系の鳥が暖かい地域に分布を拡げていったパターンです.このタイプの鳥としてはハクセキレイがよく知られていますが,今回の比較結果にもそれが反映されていました.また,ハシボソガラス,アオジなどもこのパターンに該当しそうです.もう一つは南方系の鳥が,暖かい地域でさらに分布を拡げ,寒い地域では分布を縮小させているパターンです.ホトトギスやサンコウチョウがこれにあたります.
寒い地域で分布を拡げた鳥
こちらも南方系の鳥が,寒い地域へと分布を拡げているパターンがありました.ヒヨドリがそれにあたります.同じく南方系のメジロやヤマガラも分布を拡げているのですが,これらの鳥は気温に関わらず全体的に分布を拡げていて,特に「寒い地域で」というわけではありませんでした.また,センダイムシクイ,コマドリ,オオルリといった夏鳥は寒い地域で増えているようでした.これがなぜなのかは,よくわかりません.
前回の調査から20年経った今,分布はさらに変化していると思います.来年からの調査で,それらを明らかにしていきたいと思います.
ニュースレターを発行しました
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